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E.T.

E.T.

E.T. THE EXTRA-TERRESTRIAL

115

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5.0

僕らは皆ETだ

「未知との遭遇」の精神的な続編と評される事も多い本作だが、 実際スピルバーグが「未知との遭遇」の続編を依頼されたことが生まれるきっかけとなっている。 続編モノには乗り気になれなかったスピルバーグは 1955年にケンタッキー州ホプキンスビルに住む一家がUFOとエイリアンと遭遇した「ホプキンスビル事件」を元ネタにして 5体の凶暴なエイリアン軍団が牧場に住む一家を襲うという、 いわばホラー版未知との遭遇ともいえる「ナイトスカイズ」なる作品を代わりに企画する。 途中で違和感を覚えたスピルバーグが一部のアイデアを残しつつ方向性を180度変えて 少年とエイリアンの心温まる交流を描いた本作へと生まれ変わり、結果的にはこれ以上ない大成功となったのである。 特に5体が登場する予定を一体に減らしたことでETの表現に技術と予算と人手のリソースを徹底的に集中することが出来たことは大きい。 10人がかりのケーブルを使って表現した なめらかさとぎこちなさが混ざり合った独特な動きと仕草によって 奇妙なリアリティと素晴らしい存在感を醸し出していて、ただそこにいるだけで目が釘付けになってしまう。 妹ガーティ役のドリュー・バリモアは本作において天才子役だと賞賛されたのだが、ケーブルに気付かずETが本当に生きていると思った彼女は 芝居ではなく本当の意味で生きているETとやり取りをしているのである。 何でもCGで表現できて役者は何もないブルーバックのスタジオで撮影する現在の製作現場ではこの奇跡は成しえないだろう。 「ナイトスカイズ」が実際にどんな映画になっていたのかは興味が尽きないが、 やはり変更になって本当に良かったと思う。 作品を象徴する癒しを与える光る指が「ナイトスカイズ」では指から放つ殺人光線になってしまうところだったのである。 映画を観てない人ですら知っているほど有名な、光る指と人間の指を合わせるパッケージアートは実際に劇中ではエリオットの指のけがを治してあげるシーンで へ~これがあの有名なヤツかぁと今更ながら初見の私は最初は呑気に感心していたのだが、ふと気付いた。 「イタイ」 ・・そうだこれが大事なんだ。相手の痛み・苦しみを理解して寄り添うことが種族の違いを越えて友となるのに大事なことなんだ。 「宇宙人側から見たら僕たち人間も宇宙人なんだ」 怖いくらいヒステリックにワーキャー騒ぎ、変な暴言をわめいて ハロウィンで一斉に「変身」する子供たちも 子供とETの目線に合わせたカメラワークで母親以外終盤まで顔が見えず 宇宙服の姿で「襲撃」してくる大人たちも ET以上に不気味な「ET」に見える時があって、そのことを実感させてくる。 最初は「僕が王様だ」とETに対し上から目線のペット扱いだったエリオットも 原因も原理も不明だかいつの間にかETとシンクロ状態となり 痛みを共有し理解することで本当の友達となった。 しかし、そのことを理解した時には既に別れの時が来てしまっている・・その切なさが涙を誘う。 かくして一方の目線からの「宇宙人と出会う物語」は 両者の暖かい目線からの「異なる者同士が出会う物語」へと生まれ変わり、大団円を迎えるのである。 ・・実は「続編」が存在することはご存じだろうか? 大人になり所帯を持ったエリオットが37年ぶりにETと再会するショートムービー「A Holiday Reunion – Xfinity 2019」がユーチューブで公開されているので、興味があれば是非ご覧あれ。 更に感動するか、無粋な蛇足と捉えるかどうかは・・あなた次第である。

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