ネオ・ファンタジア

ALLEGRO NON TROPPO

85
ネオ・ファンタジア
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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(3件)


  • 真木森

    5.0

    300回記念レビュー 私の原体験映像です

     この映画を初めて見たのは小学生の頃。札幌の道新ホールの特別試写会に連れて行ってもらったのですが、アダルトな場面もあってちょっと気まずかった記憶があります。それに実写部分のブラックユーモアやディズニーの『ファンタジア』へのくすぐりなどよく分からない部分もありました。でも、この映像体験は小学6年生の思春期入り口の感性に深く刻まれ、私にとって一生涯忘れえぬ原体験となったのでした。映像と音楽の見事なまでの融合。イマジネーションが爆発した、夢幻的でグロテスクですらある造形。セリフが無くても映像で語らしめた「毒」のある物語。それから二十数年、もう一度見たいと切望し続けた年月が積み重なっていきます。ビデオ時代に本作がソフト化されたなんて情報を耳にしたこともありましたが、私の周辺ではなしのつぶて。「永遠に失われてしまったのだろうか。まるであのネコにとっての温かい家の残像のように…」しかし長生きはするものですね。この世紀の傑作も今ではDVDで購入できるし、各物語はYouTubeで簡単に見ることが出来ます。ただし劇場の大スクリーンの迫力と大音響で堪能するという点は再現しようもないですから、やっぱりあの時に見ることが出来たのはONE & ONLYの原体験でした。 『牧神の午後の前奏曲』:子ども心に「エロス」というものを濃密に感じさせてくれました。若い肉体のはじける様と、それを希求しながらも老いの現実に直面せざるを得ない人類共通の哀しみ。そして結局この世は女性原理によって作りあげられていて、男性というのはちっぽけな存在に過ぎないのだということを言外に伝えるラストシーン。たかだか12歳の私でも、そんな強いメッセージを直感的に悟りました。私も40過ぎて本作の老牧神の立場に立たされる機会が増えましたが、しかし老いは欠落ではない。精神的に深まれば充分人生は有意義だし、意外に今の方が若い女の子にモテます。でもやはり私は女性原理に飲み込まれるちっぽけな男性に過ぎないのだということもよく分かるようになりました。今なお私に示唆を与えてくれます。 『スラヴ舞曲第7番ハ短調』:早熟な私はその時点ですでにムッソリーニとファシスタ党の歴史を知っていましたから、最後のやや唐突に見える独裁者への変貌も納得。でも最後にケツ食らえという感じは、さすがイタリア人のアナーキーな国民性で天晴れ! 何でも我先に新しいものへ飛びつく日本人の性向に辟易していた私は胸がスッとしました。 『ボレロ』:何をおいても本作の頂点、圧巻の映像体験です。生物進化の一大スペクタクル。そのダイナミズム! スケール! 文明を打ち立てたものは「猿の段階の生物」に過ぎないなんていう毒のある締めくくり。昨今のCG糊塗SF作品を見てもこれ程のセンス・オブ・ワンダーには到底及んでいません。若いクリエーターには一度見てもらいたいです。 『悲しきワルツ』:劇中の老婆達が号泣したのと同様、涙なしには見ることの出来ない名作。それは単にネコが可愛そうだという低いレベルのことではなく、我々がどこかで「在りし日の温かな風景」を胸に抱えつつ、鉄球による無情なあのラストをある諦念のもとに飲み込んでいるからではないのでしょうか。そしてネコは消えてしまいました。それは私たちが無意識下に沈めて忘れようとしている「悲しきワルツ」の原像。そしてそれをふと思い出した時に、あのネコの人なつこい瞳と輻輳されて胸が張り裂け、涙があふれてくるのです。今までの3作や実写部分との対比もあって、まさに「ブラボー!ブラボー!」 『ビバルディの協奏曲』:不覚にも本作のことは全く忘れていて、「そういえば最後に男が「イターっ!」て叫ぶ作品あったなあ」くらいでした。ボツェットさんが今まで撮り続けてきた短編集のテイストに一番近いのが本作かも。若さとは無分別だ、というカトリック的価値観が厳としてあるのが面白いところ。 『組曲〈火の鳥〉』:今までの作品が強烈過ぎてこの辺では満腹感が。もしかしたら曲と上手くマッチしていない、もしくは曲自体があまり好みでないからかも。文明批評という点で一致しているのがやはりカトリック文化の素養なんだなあって感心させられます。  これだけでなく、ジェットコースターの様にイメージが乱舞し、ひねりと哲学の効いたエンディングも素晴らしかったし、何気に実写部分も面白い。ちなみにフェリーニの手が入っているという噂がありますがそれはガセネタで、「フェリーニ風の喜劇」と評されたのが誤訳で一人歩きして、日本でそう思われているだけだとか。でも最後に漫画家と一緒に去っていく少女はなかなか魅力的で、『甘い生活』のあの少女を思わせましたよ。  私のレビューも今回で300作目を迎えました。この映画はその節目に選んだ、「秘中の秘」たる一品です。ヨーロッパアニメの一極北。皆さんもどうぞご覧ください。

  • bakeneko

    5.0

    “パチモン”ファンタジア

    パクリ王国でもあるイタリアが、本家のディズニーに何の断りもなく創った、音楽に映像をシンクロさせる形式のアニメーションです(実写部分にはフェリーニも協力しているとか)。 で、何とこの偽物は本物以上の出来栄えになってしまったのでした。 のっけから本家では絶対出来ない表現をやってのけ、更にドタバタや風刺、実験作風等、家族向けの良識や格調等無視して、とにかく楽しく突っ走ります。 作品は6つ独立しており、抒情性のあるものや、ブラックユーモア、更に前衛的なものまで多彩で、音楽は当時最高峰だったカラヤン指揮によるベルリンフィルの演奏を使用しています。 とても楽しい作品ですが、幾つかの表現方法やテーマから鑑みて、これは中学生以上を対象とする作品です(小学生以下は遠慮してね)。 そして、大方お終いになったと思った頃、おまけに楽しいフィナーレが♡!

  • peo********

    2.0

    音楽を観てアニメを聴く

    子供向けなのかなと思ったら、かなりブラックで思わず苦笑い。 モノクロの実写コントと名曲をのせたアニメが、×6。 ブルーノ・ボゼットってイタリアのアニメ作家で 手塚治に影響を与えたっていうけど、あんまり好みじゃない。 実写の方に、あのロッシおじさんが出て来た。 燃やされちゃうのもユーモアだと? 理解し難いセンス。 ただし、3曲目の「ボレロ」と4曲目の「悲しきワルツ」のアニメは素晴らしい。 手塚治じゃなくてモーリス・センダックの「かいじゅうたちのいるところ」を思い出した。 で、どうなんでしょう? 名曲と名画と弱者や年寄りイジメの融合って。

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