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ネバーエンディング・ストーリー第2章

ネバーエンディング・ストーリー第2章

THE NEVERENDING STORY II: THE NEXT CHAPTER

90

san********

4.0

ネタバレペーターゼン版とは相反するテーマ

本の世界へ迷い込む! 文字を追えなくなってはじめて日が暮れたことに気づく位、本に夢中になった経験を持つ人なら、このシチュエーションだけでドキドキしますよね。 かくいう私もその一人です。 主人公のかけがえのない友達になるとか、大切な使命の一端を担うとか、いろいろ想像しながらわくわく本を読む。 主人公バスチアンはいじめられっ子で、想像の中でだけヒーローになれる弱虫っ子ですが、それが本当になってしまうのがこの<ネバー・エンディング・ストーリー>なのです。 しかし残念なことに、ペーターゼン監督が映画にしたのは物語全体のちょうど半分まででした。 肝心のバスチアンの物語がここから始まるという、いわば『これからがいいところ』で終わってしまい、エンディングへ持っていくために原作にはない、『いじめっこ』へ無理やり復讐(しかも他力本願で)するという唖然とするシーンで終わる結果になってしまいました。 原作のミヒャエル・エンデが怒ったのも無理はありません。 必ずしも原作どおりである必要はないですが、原作の趣旨が逆転してしまったのはやりすぎだったと思います。 そしてこの<第2章>はその続き、主人公バスチアンの冒険の物語なのです。 母親の病死や父親とのすれ違いなどバスチアンの背景もきちんと描かれ、ファンタージェンを襲う“無”が“愛の喪失”であるというストーリーは、必ずしも原作どおりではないけれど、あたらずとも遠からずといったところでしょう。 安易に願いを叶えるたびに大切な記憶を一つ一つ失っていったバスチアンが、ついに最後の記憶を失っても、友だちの命を願い、魔女が心を取り戻すことを願うところは感動的です。 <真実の望み>がこの作品のテーマであり、そこへ至る道を幻想世界で体験したバスチアンは、最後は迷うことなく現実世界へ帰っていきます。 ジュブナイル風の軽い作風にはなっていますが、テーマはしっかり作品に根を下ろしています。 こんな風に素敵に終わるのです。 父親がドアを開けるとそこには、もういじめられっ子でも弱虫でもない、 勇敢で明るく、目を輝かせた男の子が立っていました。 おそらくイマジネーションの豊かさや映像は、1作目には及ばないかもしれません。 またはからずも相反するテーマを抱えることになった二つの作品は、全く別物と見るべきなのでしょう。 でも私としてはいじめられっ子の復讐でおわるのは惜しいので、1作目とあわせてぜひこれも観て欲しいと思います。 私の周りではこの<第2章>を知らない人があまりに多いのが気になり、レビューしてみました。

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