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硫黄島の砂

硫黄島の砂

SANDS OF IWO JIMA

109

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4.0

米軍宣伝映画でも良質の部類にランク

ハリウッドが1940年代末から50年代にかけて製作した米軍宣伝国策映画はかなりの本数になりますがJ・ウェインが海兵隊軍曹役で出演した「硫黄島の砂」は内容的にも良質の部類にランクされる戦争映画です。 国策映画と言えば政治色やイデオロギー臭さが目に付く事が多く、なかなか素直に評価出来ないものが多いのが実情です。 ソ連をはじめ共産国の国策映画もそうですがアメリカで製作された国策映画の大半も同様で今日の視点で見ると時代背景を理解する資料としての価値は認められても”映画”として評価するには難があるものが大半です。 「硫黄島の砂」は太平洋戦線で活躍したアメリカ海兵隊の武勲を称える米軍宣伝映画である事は間違いないのですが戦場の冷酷な現実や海兵隊内での厳しい規律や訓練の様子、複雑な人間関係の葛藤なども上手く描いていて相応のドラマとしても仕上がっています。 太平洋戦争では海兵隊も日本軍との戦闘で多数の犠牲を出しており、戦争終結直後に製作された映画で悲惨な戦争の現実を省いて描写する事は戦争体験者や戦死者の遺族の感情を逆に刺激してしまう、との配慮があったのでしょうか・・・・? もちろん、この映画の趣旨は米海兵隊の武勲を称え尊い犠牲を偲ぶというものですが、国策映画と言えど戦争の現実を描かなければならないほど第二次大戦が甚大な犠牲を出したという事を痛感させられます。 (雑談1)J・ウェイン演じる主人公は海兵隊のストライカー軍曹。J・ウェインは数多くの戦争映画に出演したがほとんどが士官の役で下士官役は大変珍しい。 (雑談2)この映画の戦闘シーンはタラワ環礁ベティオ島と硫黄島の2箇所。 いずれも太平洋戦争の激戦地だったがタラワ環礁ベティオ島では米軍側のあまりに多い犠牲に米議会や世論が強く刺激され米軍上層部の責任追及にまで発展しそうな状況だった。 (雑談3)この映画と同時期に製作された他のハリウッド製戦争映画と同じく戦闘シーンは実写映像とオリジナル撮影を組み合わせて編集されているがオリジナル撮影部分も海兵隊全面協力で行われているので迫力満点で観る者を圧倒する。実写映像とのマッチングも良。 (雑談4)硫黄島で火炎放射器を使用して日本軍トーチカを焼き払うシーンで登場する米軍戦車はM4A3「シャーマン」POA-CWS-H5。主砲と火炎放射器を連装にして搭載した砲塔が特徴だが、この型式は第二次大戦には実戦参加していない。 この「シャーマン」が登場するシーンでは日本軍の九五式軽戦車も少しだけ姿を見せる。 (雑談5)海兵隊員が鉄兜に被せている迷彩カバーは海兵隊独自のもの。テレビドラマ「コンバット!」でビック・モロー演じるサンダース軍曹が同じ迷彩カバーを鉄兜に被せているがサンダースは陸軍の兵士なので実際にはありえなかったと思われる。

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