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硫黄島の砂

硫黄島の砂

SANDS OF IWO JIMA

109

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3.0

『硫黄島からの手紙』の58年前

リチャード・リンドバーグの『第2次大戦日記』(新庄哲也訳、新潮社、1974年)。リチャード・リンドバーグは、1927年にニューヨークからパリまで、単発飛行機「スピリット・オブ・セントルイス」号を1人で操縦し、33時間で飛んで見せたヒーローだった。 彼は、大戦末期の南太平洋戦線をアメリカ軍の技術顧問として視察し、その記録を出版した。その中にリンドバーグが見た戦争の悲劇がある。 アメリカ軍は硫黄島で、日本兵に投降を呼びかけるビラを撒き、捕虜を保護したとしているが、リンドバーグの日記には「穴の底には5人か6人の日本兵の死体が横たわり、我が軍が放り込んだトラック1杯分の残飯や廃物で半ば埋もれていた」など、アメリカ軍の姿がつづられ、「米兵にとって日本人は動物以下で、人間として見てはなかったのだ」とリンドバーグは結論づけている。終戦から4年後の1949年製作された『硫黄島の砂』にも同じ意識が流れているように思われる。アメリカ兵にとって日本兵は、心を持った同じ人間ではなかったのだ。動物のように見えていたのだろう。“戦争”という病である。そして、「戦争の悲惨」も伝わってくる。 ジョン・ウェインは、この作品でアカデミー賞にノミネートされたが、受賞を逃した。日本の兵が「人間として」描かれた映画『硫黄島 からの手紙』が2006年のアカデミー賞候補になるまでには、『硫黄島の砂』から「58年間」の時間が必要だったのである。 硫黄島の星条旗を実際に立てた兵士たちが出演していることでも有名。

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