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野いちご
2013年7月20日公開

野いちご

SMULTRON-STALLET/WILD STRAWBERRIES

902013年7月20日公開

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5.0

ネタバレ野いちごと聖化

イングマール・ベルイマン監督の作品、これが初鑑賞でしたが、美しい作品です。 さりげないカメラワークが素敵すぎます。表現も深みがあって、印象的です。 夢のシーンと現実のシーン、これらがはっきり別れているのって、実は見たことがありません。だいたいは幻想と現実が区別のつかないものになっていて、鑑賞者によって意見が違う、なんてことがほとんどです。でもこの作品は違います。 おそらく感傷的な表現をやや求めたからでしょう。現実に立脚しながら、夢想することによって、二つの地点の「ズレ」が生じ、それが感傷を生んでいる。 ですがそれが主眼ではなく、人間性の再興がテーマになっているんですよね。感傷というと扱いづらい素材ですが、この作品の主役が老人ということで、ただ香りの良さだけがあって、安心です。 まずは死の夢、そして初恋の夢(野いちごは彼とサーラを繋ぐもの?)、自身の罪と罰の夢、そして自分の原初の夢――。 現実では、自らの名声と死の気配に包まれている中で、息子の嫁の嘆きや、ケンカしている夫婦、若々しさあふれる三人組(自分・サーラ・ジークフリッドの分身?)、老いた母、息子夫婦の秘密など、いくつかの出来事や人間との出会いが、とても象徴的に展開されていきます。 そして主人公のイサークは、じょじょに変わっていくんですね。冷たい男だと妻や息子の嫁から言われてた彼が、自分のしてきたことをよく思い出して(その背後に自分の死の幻想があるわけですが)、罪と罰の意識にひたるのです。そしてやがて、罪の意識から解放され、穏やかな夢を見られるようになります。それがラストシーンの、「もう野いちごはないのよ(初恋の記憶が純化する)」「父と母が見つからない(原初の自分にたどり着きたい)」、そしてサーラに案内された先で、穏やかな姿の両親を見て、ふかい感慨に浸ることができるのです。 すばらしい物語、すばらしい表現性です。 控えめな演出がまたいいんです。これだけ美しいテーマなのに荘厳な感じはしないんですね。これは好みですけど、こういう清流の水のようなすっきりとした映画があってもいいな、と思いました。 また彼の他の作品も見ようと思っています。

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