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5.0点
ネタバレ死ぬ前にようやく自分を振り返る
何度かになるけれども、なかなか素晴らしかった。 主人公のイサク(ヴィクトル・シューストレム)の最初に見る夢が、自分の死体だったり、針の無い時計だったりするので、自分の“死”がテーマになっている。 しかも、イサクは、医学博士として、表彰されるのに、家庭では皆に疎まれ、息子は死にたがっているし、息子の嫁からは、エゴイストと言われる。 そういう自分に気づいて行くからこそ、自分の唯一の拠り所であろう、幼い頃の家庭の思い出や、恋人のサーラ(ビビ・アンデショーン)のことや、彼女を弟に奪われた傷にも触れていくことが出来たのだろう。 幼い頃の家族の思い出は、「ファニーとアレクサンデル」を彷彿とさせられほっとする。主役のヴィクトル・シューストレムはいいとして、脇を固めるイングリッド・チューリンもビビ・アンデショーンもさすがに上手い。 そして、この偏屈な78歳の老人が、死を意識した所で、ようやく自分の近しい人たちに目を向けていくようになった所で映画は終わる。医学の貢献とは全く別に、自分の死を意識したからこそ、大切なものが分かったのだろう。
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