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野いちご
2013年7月20日公開

野いちご

SMULTRON-STALLET/WILD STRAWBERRIES

902013年7月20日公開

Kurosawapapa

5.0

生きながらの屍より、生きながらの生

本作は1958年ベルリン国際映画祭・金熊賞受賞作。 イングマール・ベルイマン監督が、深く人間を見つめた秀作です。 夢や幻覚を用い、見る者を登場人物の心の深淵に誘うベルイマン監督。 過去 と 現在 を共存させ、多層的に心理の輪を重ねていく。 また、現代のサーラ(女学生)と過去のサーラ(主人公の婚約者)は別人なのに、同じ名前で登場させることによって、二重に効果を高めている。 主人公は医師で一見穏やかな老翁だが、気難しく友を持たない。 そんな主人公(ヴィクトル・シェーストレム)が名誉博士号を受けることになり、一日かけて車で授与式に向かう。 その間に、 ・三角関係にある若者(医学生と神学生と女学生) ・エゴイズム と ヒステリーでバランスがとれている夫婦 など、 様々な出会いによって “人間” というものを見つめていく。 また主人公は、夢でも多くの出来事に巡り会い、  “自分” というものを見つめていく。 見る夢は “悪夢” ばかり。 それも耐え難い無情に満ちた 悪夢 。 多からず、人間誰しも持っている エゴイズム、欲、無頓着、、、 それによって導かれる “後悔” と “罪悪感” 。 人生とは、 ・過去に自分の言った事が自分を苦しめ ・過去に自分のとった行動が自分を苛ませる 因果応報、後悔の旅。  “煩悩” と “後悔” からは、決して抜け出せない、 そんな人生観。 主人公は、全ての出来事を通して、人生を決算していきます。 そして、老死を目の前にして、生きることの意味を発見する。 後半、急にストーリーは優しい流れに変わっている。 生きながらの死より、 必要なのは、生きながらの “生” 。  “生” とは、 新たな命を迎えることであり、尊信であり、愛。 孤独の牢獄は、愛によって打ち破ることができる。 日頃、自分が感じていても、心で表現できなかったものが、ここには描かれている、、、 自分もまた、悩み多き “凡人” であったのだと、 安心感 を覚えた名編です。 (INGMAR BERGMAN:No5/14 ) 今作の監督キーワード:「夢と回想」

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