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ノートルダムのせむし男 (1923)

THE HUNCHBACK OF NOTRE DAME

監督
ウォーレス・ワースリー
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3.67 / 評価:6件

でっかい&頑丈なセットだなあ~

  • bakeneko さん
  • 2015年12月1日 0時41分
  • 閲覧数 430
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

ヴィクトル・ユーゴーの”ノートルダム・ド・パリ(1831年)”の2度目の映画化作品で、シビア&現実的な原作をかなりマイルド&ロマンチックに改変したお話は、その後の映画&TV作品の典型となっています。

原作はルイ11世の治世1482年のパリのノートルダム寺院自体を主役にしてそこで繰り広げられる人間の営みを神の視点で俯瞰した群像劇であり、登場人物の殆どがバッドエンドに終わるペシミスティックな運命劇なのですが、映画版は沢山の登場人物の中から、誰にも省みられない鐘衝き人カジモドを主人公に、ジプシーの美しい踊り子エスメラルダをヒロインにピックアップして、報われない恋に献身する主人公の悲恋物語に脚色されています。

“千の顔を持つ男”というよりも、まともな人間役を演じることが少ない稀代の怪優:ロン・チェイニーの面目躍如たる作品で、傴僂男を生き生きと演じています(不自由な格好で、ノートルダム寺院のセットの頂上から降りてくるシークエンスは圧巻!)。
そして、エスメラルダ役のパッツィ・ルース・ミラーの清純さも怪異なカジモドと対照的ですし、
(肉欲に負けてエスメラルダを誘拐&濡れ衣を着せて処刑させる)原作とは異なって善玉役のクロード・フロロ司教補佐や
(原作ではちゃんとした婚約者があるプレイボーイ)の設定から真剣な求愛者へと変更されたフェビュス・ド・シャトーペール
等のキャラクターの変更が物語を分かり易い&後味の良いものとしています。

この時代のサイレント映画ならではの“巨大な実物大ノートルダム大聖堂セット”や大観衆のエキストラからなるモブシーンはCG誤魔化し無しの本物の迫力を出していますし、原作の持つ“複数の登場キャラたちが絡み合う群像劇”としての俯瞰性も留めている大作で、この時期は王の権力も脆弱だったことも表されていますよ!

ねたばれ?
1、本映画版等では、無償の愛を捧げて奮戦したカジモドが、想い人:エスメラルダの幸福を見ながら最期を迎えます(あっ、ディズニーの「ノートルダムの鐘」では死にませんね!)が、原作はもっともっと辛口展開となっていて、
クロード・フロロ司教補佐がエスメラルダが恋しているフェビュスを刺して、濡れ衣をエスメラルダに着せ、助命と引き換えに愛人になるよう迫るが、彼女はそれを拒み処刑され、その際、大聖堂の塔の上からそれを見届けるフロロを、カジモドが塔から突き落として殺す。そして、プレイボーイのフェビュス大尉は何事も無かったかのように予定通り婚約者のフルール=ド=リと結婚する。
―と此処まではバッドエンド&ペシミスティックな展開ですが、エピローグで、
“数年後、近くの洞窟で白い服装をしたエスメラルダの遺骸と思われる白骨に、異様な骨格の男の白骨が寄り添っているのが発見された”―と示されて苛烈な群像劇をリリシズムで締めています。
2、劇中でエスメラルダは“エジプトの皇女”と剽称しますが、ジプシーという呼び名は元来“エジプシャン(エジプト人)”が訛った蔑称ですから、理屈は合っています。

おまけ―「ノートルダムの傴僂男」のタイトルを捩って製作されたスラップスティックコメディの紹介を…

当時の歯痛って深刻だったんだな~
「ノートルダムの仲立ち男:The Half-Back of Notre Dame」(1924年アメリカ 19分)監督:デル・ロード監修:F・リチャード・ジョーンズ 出演:ハリー・グリボン、ジャック・クーパー、マデリン・ハーロック

1923年の名作「ノートルダムの傴僂男」"The hunchback of Notre Dame"のタイトルをパロディにした題名ですが、アメリカの大学を舞台にして学長の娘を巡っての恋愛奮闘譚をスラップスティックの至芸とアニメーションを駆使して見せてくれます。
“タイトルに有る様に主人公の一人がハーフバックを勤める”フットボールの試合から始まる作品で、歯医者ギャグ、豪邸での水着ギャグ、そしてクライマックスとなる操縦士なしで飛び廻る飛行機からのヒロインの救出へ…とストーリーの整合性を吹っ飛ばして爆走する喜劇で、
当時の映画の“写りがハッキリしない画面”を逆手に取った“フットボールがスイカに紛れるギャグ”や、
歯科技術の未発達を生かした“抜歯ギャグ”、
マック・セネット社の呼び物だった“水着ギャル達”、
漸く遊覧飛行が商業化していた複葉機
やがてディズニーやフライシャー兄弟のギャグアニメへと結実するアニメーション
…といった、最新の事象もギャグに採り込んでいます。
しかし何と言っても凄いのは、“ボードビル出身の芸人達の体を張ったギャグ”で、
馬の暴走や、“飛行機のプロペラと一緒に廻る&操縦不能になった飛行機に追いかけられる”ギャグには、本当に誤魔化し無しの時代だけに“よく死ななかったなあ~”と驚愕させられます。

理屈抜きに愉しめる作品で、凸凹コンビの一人にはチャップリンのキャラクターが反映されていますよ!

詳細評価

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