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ノートルダムのせむし男

ノートルダムのせむし男

NOTRE-DAME DE PARIS

120

shoko

4.0

人間ドラマと切ない愛の物語

ノートルダムのせむし男というと昔の白黒サイレント映画のイメージから、怖いゴシックホラーなんだと思ってました。 でも「レ・ミゼラブル」の作者、ヴィクトル・ユーゴーの小説なんだし、、と思い鑑賞。 この小説は何度も映画やテレビドラマ、舞台劇、ミュージカルになっていますが、今回鑑賞のこの1956年の映画しかみていないので他とは比較できません。ただ一番お話がもとの小説に近いということ(登場人物の性格が違っていたり、ハッピーエンドになるバージョンもあるらしい)、せむし男の怪物ぶりが主題ではなく人間ドラマに焦点を当てていること、せむし男のビジュアルも顔の変形はあるものの恐怖をよびおこすほどのものではないことなどが特徴的らしい。 おかげで当時のパリの社会状況や、人間の欲望と葛藤、そして切ない愛の物語としてこの映画をとらえることができました。 昨年、ノートルダム寺院のあるシテ島に行きましたが、パリ発祥の地といわれ、とても美しい場所です。 でもこのお話の時代の1482年の貧困と犯罪の巣窟のようなジプシーたちの暮らしぶりや、魔女裁判がリアリティであった頃のシテ島の描写に驚きます。 生来の慈悲の心をもった美しくセクシーなジプシー娘、エスメラルダ。 自分が魅力的であるがゆえにひきおこされる悲劇。 しかし彼女自身も外見のいい衛兵フェビュスに恋してしまって、彼の内面の不誠実さがわからない。 そして最後に忠誠を尽くしていたカジモド(せむし男)に、こうなったのはすべておまえのせい、といわれるノートルダム大聖堂の副司教、フロロには、私も同じ言葉をいってやりたい気持ちになりました。大聖堂から投げ落とされても自業自得!! 映画の前半はせむし男の話というよりこれら登場人物のひきおこす不幸の連鎖。 そして後半になってカジモドのせつない愛がフォーカスされ、さすがのアンソニー・クインの名演ぶりが光ります。 ところで私はこの映画を You Tubeにアップされていた英語版でみはじめたんですが、どうも英語のセリフを聞いているとまるで駄作としかいえないような出来。よっぽど鑑賞をやめようかと思ったんですが、オリジナルのフランス語版、英語字幕つき、も同じ人から投稿されていて、そちらにスイッチしたらまるで別の映画をみているように素晴らしい。 吹き替えで映画の質まで変わってしまうのか、と改めて驚かされました。 星よっつ。他のバージョンもみてみたい。

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