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ノーバディーズ・フール (1994)

NOBODY'S FOOL

監督
ロバート・ベントン
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  • みたログ 359

3.94 / 評価:108件

いつか俺とダンスに行こう

  • tor***** さん
  • 2011年3月26日 15時44分
  • 閲覧数 540
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

★頑固者で、皮肉屋で、破天荒だけれど、ちゃめっけと自尊心のある爺さんものにはちょっと弱い。
似た作品も割と多くて、グラントリノ(イーストウッド)、黄昏(ヘンリー・フォンダ)、世界最速のインディアン(アンソニー)などもそうだった。しかも、それぞれ実にいい爺さんだったし、それぞれの役者も大好きだ。
この作品のサリーもそうで、ポールニューマンが見事なジジイぶりを発揮している。
こういう物語の爺さんは大抵、過去に重くて、悲しい何かの経験がある。
それを心に秘めながら、忘れようとしても忘れられないモドカシサを、形を変えてついつい他人に向けてしまい、誤解を与えてしまう展開だ。
このサリーも、アル中で暴力的な父親と困惑する母の姿がトラウマとなり、自分自身の家庭までも崩壊してしまい、トラウマを心に秘めつつも、彼なりの自尊心を持ち、自己の考えに忠実に生きていこうとしている老人だ。
その姿をポールニューマンが見事に演じていると思う。

物語は、田舎の雪国を舞台に、比較的淡々と進むが、要所要所に大袈裟すぎない「出来事」や「やりとり」がちりばめられていて、飽きることはない。また、彼を囲む友人達も、片足の三流弁護士や、浮気癖の強いカールなどなかなか個性的だ。

なかでも、友人のロブ(プルット・テイラー・ヴィンス)がたまらなくいい。孤独でヤキモチ焼きで弱虫で頑固なキャラクターは、まさにサリーの友人にぴったりだ。「船の上のピアニスト」で披露した「キョロキョロ目玉」も健在で、思わずカワイラシイと思ってしまう。
「10ドル貸してくれ」「この街には10ドルあれば女が買える」「でも友達じゃないぜ」
「1ドル貸してくれ」「ドーナツにしろ」「ドーナツは食ったらなくなる」「1ドルも同じさ」
ていう、些細なやり取りも意味深い。金以外の絆でつながっている二人だ。
息子のピーターがサリーを仕事仲間に加えることに嫉妬し落ち込んだ彼を
「ピーターは俺の息子だ。そしておまえは俺の親友だ。」
と雪の中の玄関に座って話すシーンはなんとも切ない男同士の友情だ。

息子や孫との関係では、日常的な小さなやり取りを通じて、祖父として再生していくサリーの様子が描かれていく。息子と除雪機を盗むシーンをはじめ、孫に車のハンドルを握らせるシーン、勇気の時間をはかるためのストップウオッチを孫にプレゼントするシーンなどは特に印象的だった。
そんなサリーに息子は「父親失格なのに祖父の役を?」という問いに
「どこかではじめなきゃ」と答える。それは「戻り始めた親子の絆」を表現しているだけでなく、晩年を迎えた人々の、これからの人生に対するエールのような台詞だと感じた。

脇を固める女性人と対するサリーのさりげない優しさも見逃せない。

夫の浮気癖に悩むとトビーとのやり取りでは、
「マン馬券を当てたらハワイへ飛んでココナツオイルのマッサージだ」
「撃ち殺したいと思う相手はいないの?」
「だから俺は銃を買わない。」
なんていうちょっとした恋愛感情を交えてリラックスさせてやったり
夫の浮気のエスカレートに対し、サリーに駆け落ちを求める彼女に
「おれはいじいちゃんだ。そして父親で、あいつらの友達だ。だから行けない。」
と断るシーンもそっけないようで胸を熱くする。

他にも、雪の中を徘徊している痴呆症住人のハディーを、家に連れ帰る際に
「いつか俺とダンスに行こう」なんて誘ったりする。

そして、大家でもある中学時代の恩師ミス・ベリルとのやりとりだ。
先生時代のように、棒切れで天井を突いてサリーを呼び出しては、
「何故ネクタイしているのまた警察に呼ばれたの?逮捕される前にポーチを直して」
などど軽口をたたきながら色々と手伝いをさせる。
企業家の息子とはソリが会わず、むしろサリーを信頼している彼女だ。
「マン馬券」の話はこのベリルにもしているようで、警官暴行の罪から出所してきた彼に
「あなたは私のマン馬券よ。私の好きな下宿人はあなたよ。」と愛にも似た告白をする。
そして、ラスト。
サリーの生家を税務署から買い戻してくれた彼女とのちいさなやりとり。
「許さないの?」  「許すよ」
「本当に紅茶はいらないの?」 「何度断らせるつもりだ?」
「気が変わる人もいるでしょうよ。」 微笑するサリー
何時しか彼女の部屋のソファーで、幸福そうに眠るサリー寝顔と、老犬を部屋に招き入れるジェシカ。
この間の、絶妙な、何気ない愛にあふれたやり取り。
美しい人生の晩年と再生のシーンだ。決して終わりのシーンではないのだ。

ところで・・・・。この作品、おっぱいを出しすぎである。その出しすぎたおっぱいが不思議と下品ではないのです。年齢や男女といった境界線を越えた「愛情」の象徴とでも言うべきか?

詳細評価

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