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ノスタルジア (1983)

NOSTALGHIA/NOSTALGHIYA/NOSTALGIA

監督
アンドレイ・タルコフスキー
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3.62 / 評価:255件

圧巻の芸術作!タルコフスキー精神世界の旅

  • Kurosawapapa さん
  • 2011年11月11日 8時27分
  • 閲覧数 2705
  • 役立ち度 21
    • 総合評価
    • ★★★★★

この映画は、1983年カンヌ映画祭・グランプリ受賞作。
英国のインターナショナル・フィルム・ガイド誌では、1983年製作の全ての映画で1位に選ばれた作品です。


ロシアの詩人ゴルチャコフは、恋人とイタリアの温泉地にフランチェスカの絵を見に出かけ、そこで出会った狂人ドメニコに興味を惹かれます。
ドメニコは、自分の代りにゴルチャコフに、蝋燭を灯して温泉を渡る事を託して、ローマに渡り自殺を図ります。
ゴルチャコフは約束通り、蝋燭の火を消さないで温泉を渡り切ろうとするのですが、その時、篠突く雨は雪に変わり、、、


本作の監督は、
叙情的自然描写と独特の映像美で、人類の救済をテーマにした作品で知られる、
ソ連の巨匠、アンドレイ・タルコフスキー監督。

難解という世評で有名な、タルコフスキー作品だけあって、
本作は一言で言うなら哲学的な映像詩。

監督にとっては、表現の自由を求めソ連から亡命後、異国での初作であり、
主人公を、監督と同じく、国を追われた詩人とし、不治の病に犯されながらイタリアで放浪の旅を続け、
故郷への想いや、死への畏れ、苦悩に囚われるさまを描いています。



霞がかった山野、
そこに降り下ろす光、
霧のかかった畑をずっと向こうに歩いていく、、、

憂愁、哀惜、全てがおぼろな映像で、ゆっくりと紡がれていく。

トスカーナ地方を中心に選び抜かれた撮影場所は、
山野、廃墟、大聖堂と、郷愁的で神秘的映像を映し出し、
部屋の中では、静寂と寂寞が溢れ、
水、 光、 霧、 闇、 火、 タルコフスキー独特の詩的宇宙を謳い上げています。

さらに、不思議な少女や、ベッドの上の妊婦など、
幻想的な画風が醸し出す、果てしないメタファー。

祭壇の蝋燭の輝きに始まり、メドニコの焼身自殺、そして蝋燭の炎を手にして温泉の広場を横切るのは世界を破滅から救うことに繋がると、本作は、終始、宗教的色彩に溢れています。

また、神に問いかけ、詩が語られ、
終末感とともに、希望も存在している。

大事なのは、完成ではなく、願いを持続すること、、、

感じられるのは、故郷への大きなノスタルジーである反面、
故郷を持とうとしない、つまり国境の存在を無にしようとする祈り。

「ノスタルジア」とは、ロシア人が外国に旅行に出た時などに襲われる、死に至る病のような独特な感情のことで、
この感情を基に、「惑星ソラリス」「鏡」「ストーカー」などを製作してきたタルコフスキー監督。

「1+1=1」、油は2滴落としても1滴になる、という “同一化への欲求” も、
タルコフスキー作品を通したモチーフ。

絶望感、頽廃、そして絶望の中に見い出そうとする未来の模索。

ストーリーやアクションよりも、精神世界によってフォルムを形成、
自分の魂を追い続け、内部世界への旅を表現したタルコフスキー監督。

次元、思索、論理を超越した映像は、
芸術として無限の広がりを魅せることを、本作は見事に証明しています。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
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  • 不気味
  • 知的
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