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ノスタルジア (1983)

NOSTALGHIA/NOSTALGHIYA/NOSTALGIA

監督
アンドレイ・タルコフスキー
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3.62 / 評価:255件

個々の救済と世界の統一

  • 一人旅 さん
  • 2014年1月3日 7時51分
  • 閲覧数 1159
  • 役立ち度 9
    • 総合評価
    • ★★★★★

アンドレイ・タルコフスキー監督作。

ロシアの詩人アンドレイ・ゴルチャコフは通訳の女性エウジェニアと共にイタリアのトスカーナを訪れる。そこでアンドレイは狂人扱いされている男ドメニコと出会う・・・。

アンドレイはトスカーナを訪れた際、エウジェニアの説得にも応じず、一人教会に入ろうとしない。アンドレイは神に対する疑念を抱き、未だそれを払拭できずにいたのかもしれない。
狂人ドメニコは、蝋燭の火を消さずに温泉を渡りきれば救済が訪れると宣言し、その義務をアンドレイに課す。傍から見れば、その行為は何の意味も持たないように思えるし、狂信的な行為とも受け取れる。しかし、ドメニコはその行為に何らかの信仰上の意味をもたらし、アンドレイもまたその意味を受け入れ、信じた。教会に入ることすらアンドレイは拒絶していたことを考えると、神への信仰の回復が訪れたことを意味しているように思える。

また、ドメニコはローマでの演説で人間は“単純な原点”に還るべきだと言う。それが何を意味しているのかは良く分からないが、現代の混沌とした世界(紛争・戦争、環境汚染、大量消費・物質社会等を含め)を見直し、複雑化した人間の現実世界や精神世界を一度元に戻すべき(統一)だと訴えているのではないだろうか。

アンドレイと彼の家族の故郷の記憶映像が度々挿入されているが、その映像はどれも暗い。恐らくアンドレイの娘であろう少女が「これが世界の終わりなの・・・」と呟いていたりと絶望感すら感じさせる。アンドレイもまた、自身や家族を含めた世界の救済を望んでいたように思う。死の病に冒されたアンドレイには時間が無い。だから無意識の内にドメニコの存在に関心を示し、救済への解答を求めていたのだと思う。狂信的で一見無意味な行為に救いを求めることができたのはその為ではないだろうか。

ラストシーンは、アンドレイが今まで度々見ていた故郷の記憶とは趣きが大分違う。左右と背後に巨大な建造物があり、家屋の前にアンドレイと一匹の犬が座り込んでいる。そして辺り一面を雪が降り続けるという不思議な映像。この映像がアンドレイへの救済の訪れを意味しているのだろうか。全てを包み込む雪の中で、アンドレイと世界は一体(統一)になったのかもしれない。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不思議
  • 知的
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