悪の華咲く
- gtk***** さん
- 2020年4月18日 17時24分
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- 総合評価
これは良かったな。
ギャング・アクションの古典的傑作という評価らしいんだけど、なんというか構成が完璧だよね。
物語展開も素晴らしいと思うんだけど、愛情・信頼→虚実、この辺りの複雑な絡み方とその行方が気になるので、集中して見られるし退屈するところが無かった。
と、そのドラマの構成に感心したんだけど、手元の紹介本を見てみると、「キャグニー自身に言わせれば、これもシナリオ自体は、当時いくらでもあった凡庸なギャングものに過ぎなかったという。それではあまりにも芸がないので、自身の役を、母親のエプロンに縛られている病的な男ににしたというのだが、それが、あんな傑作になるのが映画の妙である」
とのことらしい。
要は『母親のエプロンに縛られている病的な男』というキャラ付けをしないと、この作品も凡作であったかもしれないということ。
なんか、簡単なことのようで、ただこれだけの事で傑作か凡作が分かれるんだから、なんとも言えませんな映画って。
もちろん主役の俳優さんの狂気的な演技なんかがあった上での話ではあるんだけども。
こういうキャラ付けがあるから、母親の背景とかも考えちゃうだよね。
母親とか言いつつ、若い頃から悪党なんだろうなとか思っていると、作品途中で背後から撃たれて死んだときは、ああやっぱりなと思うし、その母親に構って欲しくて頭痛の振りをして患った病に潜入警官がそっと寄添うところは、本当に奥が深い演出だと思った。
その母親から発して、行き着いたところが、工場の頂上での爆発なんだろうな。
『悪の華』が咲きましたよと。
単なる異常な偏執者の物語かもしれないし、世界一偉大な悪党の物語かもしれない。が、こうやって人間の精神の複雑さや、社会・歴史にまで考えが及ぶ作品は一流だと思うので、文句無しの満点。
独裁者やヒトラーとかまで想い浮かべるでしょこれ。
ギャング映画だからって、淡々とアクションやってたら駄目なんだよ、この古典的傑作をお手本にしないさいというような、風格漂う作品。
感心しました。
ありがとう。
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