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激しい季節

激しい季節

ESTATE VIOLENTA

93

一人旅

4.0

発掘良品を観る #400

TSUTAYA発掘良品よりレンタル。 ヴァレリオ・ズルリーニ監督作。 二次大戦時のイタリアを舞台に、大学生と年上の戦争未亡人の恋の顛末を描いたドラマ。 兄弟の確執と愛情を真摯に見つめ、ヴェネチア映画祭金獅子賞を受賞した『家族日誌』(1962)のヴァレリオ・ズルリーニ監督による恋愛ドラマで、主演は若き日のジャン=ルイ・トランティニャン、相手役にエレオノラ・ロッシ=ドラゴ。トランティニャンの初々しさ溢れる好演も見所ですが、何よりロッシ=ドラゴの成熟した女性の妖艶な魅力が炸裂しています。 二次大戦時、1943年の北イタリアの高級避暑地リッチョーネを舞台に、ファシスト高官の息子カルロと夫を戦争で亡くした子持ちの未亡人ロベルタの出逢いと恋の顛末を描いたイタリア産恋愛ドラマですが、例によってムッソリーニ政権の崩壊や頻回に発生する空襲といった戦争がもたらす悲劇が歳の離れた二人の恋の行方に暗い影を落としていきます。 演出が秀逸です。お互いに相手が気になるものの一歩を踏み出せないカルロとロベルタ。二人は仲間たちと別荘でダンスに興じますが、薄暗がりの中それぞれ違う相手と踊り始めます。しかし、距離の離れた二人は一緒に踊る相手の背中越しに視線を交わすのです。それも無言で、鋭い眼光で。この演出は素晴らしく、物理的に離れながらもまるで至近距離で心と心で会話しているような錯覚に陥るほどです。そして次の瞬間、一緒に踊るカルロと若い娘ロザンナは体勢を入れ替え、今度はロベルタに嫉妬心を燃やすロザンナが彼女を勝ち誇ったような表情で睨みつける。男女の秘密の愛の会話から女同士の情念の衝突までをダンス一つで表現してしまうあたり、見事な演出です。また、あえて引きの映像で第三者的立場からカルロとロベルタの初めてのキスを観客(ロザンナ)に目撃させる場面や、煌びやかな避暑地の海の光景とは対照的に人目を忍んだ二人の逢瀬を陰影を巧みに取り入れた映像で映し出すことで、二人の後ろめたい恋の罪悪感を浮き彫りにさせています。そして、それまでの繊細な恋の物語から一転して、戦争的スペクタクル性に溢れたクライマックスに思わず息を呑むのです。 ちなみに、DVDの特典映像として本編から削除されたシーンが収録されています。ロッシ=ドラゴのヌードは劇中お目にかかれませんが、なんとこの特典映像で彼女のベッドシーンを見ることができます。必見。

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