パサジェルカ

PASAZERKA/THE PASSENGER

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パサジェルカ
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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(8件)

絶望的23.5%不気味17.6%恐怖17.6%悲しい11.8%切ない11.8%

  • 一人旅

    4.0

    アンジェイ・ムンク 幻の遺作

    アンジェイ・ムンク監督作。 二次大戦時アウシュビッツ強制収容所で看守を務めていたリザと、当時収容されていた女囚マルタの再会と過去の回想を描いたドラマ。 アンジェイ・ムンクの遺作。ムンク監督は本作製作途中に交通事故によって39歳の若さでこの世を去った。その結果未完となったが、後にムンク監督の友人たちが編集し直して本作を完成させた。基本的にはムンク監督が生前撮った映像が作品の大部分を占めるが、映像だけでは足りない箇所はムンク監督が遺した写真で補っている。そのため、上映時間は60分とかなり短い。 作品の特性上、中途半端な終わり方をしてしまうのが残念だが、それでも収容所におけるリザとマルタの心のせめぎ合いには繊細さと緊張感が張りつめていて見応えがある。マルタを精神的に屈服させたいリザの行動。マルタと恋人の逢瀬の機会をあえて提供したり、連行される囚人たちの中からマルタを選んで救い出そうとするなど、リザはマルタからの信頼を勝ち取ることで彼女の心を自分の手中に収めたいと考えている。厄介なのが、リザはマルタに対する自分自身の行動が彼女に対する同情心、つまりはリザ自身の良心がそうさせているのだと錯覚していることだ。戦時下において、圧倒的有利な立場にあるのは支配者であり、囚人は支配者の権力に隷属することしか許されない哀れな存在だ。たとえリザがマルタに人間らしい感情を向けても、マルタにとってリザは自分や仲間の囚人たちに苦痛を与える恐怖の対象としてしか映らない。ロマン・ポランスキーの『戦場のピアニスト』では、ナチ将校とユダヤ系ピアニストが敵という概念を超えたところで、一人間としての純粋な感情が衝突し理解を生んだ。だが、本作で描かれる看守リザと囚人マルタの関係にそういった人間らしい甘い感情が交じり合う余地は一切与えられない。戦時下における支配者と被支配者の関係は揺るぎないものであり、敵同士の相互理解など望めはしないのだと、かなり突き放した視線で戦争の実態を見つめている。マルタに対して同情心を示していたはずなのに、結果的には自分自身の保身に走ってしまうリザの毅然とした態度がそれを象徴している。ただ、これは形だけは一応完成させた本作品を観た限りの感想であって、もしかしたらムンク監督が生前描けなかった本当の結末は全く違うものなのかもしれない。

  • mil********

    4.0

    過去の影を描くもの

    監督の急逝により、未完のままのこの作品。 有志で完成させたという。 ムンク監督の詳細な意向は不明なのだが、戦争時その後で、それぞれの立場と生き方が異なる二人の女。 そう考えるだけでも、スリリングな設定だ。 二人とも、生きるためにした過去の行動。 看守と囚人。 それに現在がどう縛られているのか。 その描写を考えるだけで一つのドラマになりそうだ。 実際、どちらの女にしても、心休まらない船旅になるはず。 これからなにが起こるのか、薄氷を踏むようなスリルを心の底に感じながらも、物語は終了してしまう。暗闇のなかで燃えつきるろうそくの炎のように。

  • mal********

    2.0

    未完成作を未完成のまま観るってどうなの?

    1961年、39歳の若さでこの世を去ったアンジェイ・ムンク監督が生前に撮っていた未完成映画を、ムンク監督の仲間達がこれまた未完成ながらも?こんなストーリーにしたかったんじゃないか??と模索しながら作った映画です。(てっきり日本では未公開作かと思っていたら、しっかり1964年に公開されております) なので、実際にムンク監督が「パサジェルカ」という映画をどんなストーリー展開にするかなんて、本人と神のみが知ることであって、仲間が勝手に解釈して作られた未完成映画を観ても、正直私はどう感じていいのか分かりませんでした。 第二次世界大戦下、ポーランドの収容所での女看守リザとユダヤ人の囚人マルタの関係をとりあえず本作は描いているのですが、映画の中で流れる詩的なナレーションが少々ドラマティックすぎて?そんな大げさにしなくても?って思わされました。 未完成作を未完成のまま観たわけですから、評価の方も未完成のままさせていただきたいと思います

  • ter********

    1.0

    ネタバレ未完成過ぎて実験映画よりも消化不良…

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • Amaterasulover

    5.0

    永遠の予告編。

    監督亡き後、 撮影済みの断片とスチル写真を 監督を偲ぶ同士達が自主的に組み合わせて創った 予告編のようなものです。 予告編といっても、 監督は他界しているので 永遠の予告編です。 そして、、、 良く出来ています、 とても引き込まれました。 「是非、本編が観たい!」と思った時点で、 その同士達の目的は達成しているのだと思います。 最大にして最高のムンク追悼になるわけですから。 さて、、、、 幸せな結婚をアメリカでして夫と乗船している かつて、ナチス監視員だった女性と かつて、監視されていたユダヤ系ポーランド人女囚が、 豪華客船の中で偶然出会います。 設定が面白い、 豪華客船の中。 豪華客船は時間に浮かぶ島。 そこは、外界と隔絶された状態で、 私達が生活している陸とは違う時が流れ、 人的交流も普段とは違う空間です。 皆、享楽的で、 昨日や明日、苦労とか野心からも遠い、 過去とも国籍とも遠く、 酒を飲み、プールに尾入り、日光浴をして ゲームをし、パーティーに明け暮れる、 今を楽しむという、いわば、 時が止まった状態なのかもしれません。 そのような時間の島で、 強烈な過去を持った2人が出会う。 それだけでも面白い。 そして、映像のシャープさに、、 スリリングな何かを期待し そしてまた、ストーリーが、 人とは?愛とは?などを考えさせるような 深い映画になっただろうことを思うと、 なんとも、本編が観たくなる。 思えば、映画館も豪華客船と似ていますね。 過去も未来も関係ない、「今」しかない。 映画を観ている今しかない。 さて、、ムンク監督 この映画を撮るために行ったアウシュヴィッツの ビルケナウ強制収容所からの帰り、不慮の自動車事故で 亡くなりました。 何かの因果なのでしょうか? 映画としてはより、 予告編としての評価だと思ってください。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

ヴェネチア国際映画祭第25回

イタリア批評家賞

カンヌ国際映画祭第17回

FIPRESCI(国際映画批評家連盟)賞栄誉賞

基本情報


タイトル
パサジェルカ

原題
PASAZERKA/THE PASSENGER

上映時間

製作国
ポーランド

製作年度

公開日
-

ジャンル