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ハッド (1962)

HUD

監督
マーティン・リット
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3.46 / 評価:52件

トランプを思い起こさせる主人公

  • ogi***** さん
  • 2020年12月19日 18時16分
  • 閲覧数 40
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

「ハッド」1963

「(ニューマンの演ずるハッドは)自信たっぷりで乱暴で負けず嫌いでずるく横柄だ。どの出演者の演技も見事で撮影も音楽も編集も一級品だったが作品の中心となっていたのは間違いなくニューマンが丹精込めて作り上げた邪悪で抗し難い魅力を持った悪人だった。リチャード3世とエルビス・プレスリーを合わせたような主人公だ。
(中略)
ニューマン、リット、ラビッツの3人はアメリカ人の中にある種の歪みを批判的に描いたつもりだった。だからこそ「ハッド」が興行的にも成功したのは主に、若者たちがハッドを悪人としてではなく理想の人物として捉えたためだと知ったときには、大いに狼狽したのである。」『ポール・ニューマン アメリカン・ドリーマーの栄光』ショーン・レヴィ著 鬼塚大輔訳

観終わった後に、唖然とした。悪人は悪人のまま罪を悔いる事が無い。

ハッドはテキサスの牧場主の次男。長男はハッドが飲酒運転をして事故を起こした際に死んでしまった。父ホーマー、ハッドには甥にあたる兄の息子ロイ、家政婦のアルマと暮らしている。兄が死んでからハッドと父はうまくいかない。

ハッドは街の人妻を寝取る。憤慨した夫に対して、(たまたまその場に居合わせた)ロイが寝とったのだと嘘をつく。

牧場の牛が一頭病死する。口蹄疫の疑いがある。ハッドは父に検査結果が出る前にどこかへ牛を売り飛ばしてしまえば良いと言う。
父は「ハッド、お前は無節操な奴だな。病気にかかっていることを隠して牛を売り飛ばして口蹄疫を蔓延させるのか?」と批判する。

ハッドは父の苦言を聴き流す。自分の思い通りにならないと考えたハッドは父には判断力がないと主張して自分が牧場の経営権を乗っ取ろうと画策する。

ハッドと言い合いになった父は衝撃的な事実を告げる。逆上したハッドは自棄になり酒の勢いでアルマを襲う。止めに入ったロイを殴るハッド。

その後も悲劇が家族を襲う。

ハッドの犯した行状は
・不倫
・虚偽
・詐欺
・レイプ未遂
・傷害
・煽り運転

傲慢で人に罵声を浴びせるハッドを観ていたらトランプそっくりだと思った。

自分だけ、金だけ、嘘をつき人を振り回して平気でいる。

映画公開時、ハッドに喝采を送った若者たち。その後継者がトランプ支持層なのだろう。倫理が無く法律は自分のために利用するもの。平気で嘘を付く。無反省にセクハラを繰り返す。そんなトランプはハッドの生まれ変わりのようだ。

倫理や法に縛られないハッドの様な人物は個人の特性だろうか。それはおそらく違う。それはヨーロッパからアメリカに上陸しネイティブアメリカンを駆逐して手に入れた開拓地から人生を始めたアメリカ人の特性だ。「俺の土地の中では俺が法律だ。政府には口出しさせない」と言う精神だ。

この倫理や法に縛られないアメリカ人は他の映画でも描かれている。「イージー・ライダー」で最後に現れるショットガンを持った農夫。「ピンク・キャディラック」の武装した狂信的人種差別集団。「脱出」で観光に来た都会人を凌辱する村人。

映画「ハッド」はこれら神や倫理や法を持たない無法者が間違いなくアメリカ人の典型の一つだと描き出した。そして映画を見に来た無法者達は俺たちの事がまるまる描かれてるぜと喜んだのだ。

57年前の映画が今のアメリカの分断に繋がっている。

そしてもう一つ今につながっていること。それは「伝染病」。伝染病を広げない為に一家は牧場に巨大な穴を掘りそこに数百頭の牛を閉じ込めて全頭射殺する。凄絶な場面である。アメリカのCOVID19の死者は31万人(2020/12/19現在)未だに私達は伝染病の脅威から逃れられていない。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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