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華やかな情事

華やかな情事

PETULIA

106

pos********

4.0

ネタバレ暴力と優しさを併せ持つ手

 この作品を説明するためには、最初に時系列に沿ったあらすじが必要だろう。  ぺチュリアはダナー家の御曹司デーヴィッドの‘美しさ’に一目惚れして結婚したのだが、結婚生活はあまりうまくいっていなかった。  ある時2人でメキシコへドライブへ行った帰りに、オリヴァーと名のるメキシコの少年が無理やりぺチュリアが運転する車の助手席に乗り込んできた。デーヴィッドは後部座席で眠り込んでいたのでぺチュリアはそのまま国境を越えてしまった。  最初は、サンフランシスコへ行きたいと言うオリヴァーを面白がっていたデーヴィッドは自宅へ連れ帰って一緒に暮らしていたのだが、すぐに気が変わってオリヴァーを家から追い出すようにぺチュリアに言う。  ぺチュリアがメキシコ行きのバスの切符を買っていた時、突然オリヴァーが逃げ出し、車に轢かれて足の骨を折ってしまう。  オリヴァーは病院に運ばれ、アーチー・ボーレン医師の手術を受ける。その時のアーチーの手にぺチュリアは魅了されてしまう。  ある晩、交通安全推進のためのパーティーでぺチュリアはメキシコ人のメンドーザ夫妻にオリヴァーの里親になってもらった後、アーチーを見かける(映画はここから始まる)。ぺチュリアはアーチーに声をかけて、離婚したばかりのアーチーもその気になり2人はそのままモーテルに行ってしまうが結局何もなかった。  アーチーが自宅に戻ると、すぐにぺチュリアがやってきたが、肋骨を折っていた。その後もぺチュリアはアーチーに付きまとい、ある時は、アーチーが家に戻ると顔が血まみれのぺチュリアが倒れていた。  入院していたぺチュリアに義父は以下のように言う。 「今までの価値観は死んだんだ。私の育った所は野蛮だと思うかもしれないが、不文律が認められている世界だ。夫が妻と愛人を殺しても罪にならない所。」デーヴィッドはそのような考えの家庭で育てられていたのだ。  結局、アーチーはぺチュリアが何故怪我をしたのか分からないまま、ぺチュリアはデーヴィッドと姿を消してしまう。  しばらくして妊娠したぺチュリアは再びアーチーの勤務する病院に入院してきてアーチーの手で出産したいことを告げる。  以上が女性映画と認識されているこの作品の概要である。この作品が言いたいことは一緒に暮らすと暴力が生じてしまう男女の関係において、暴力を回避するための‘不倫’関係のポジティヴな可能性だろう。  では何故監督は敢えて時系列を混乱させて編集したのだろうか。理解というものは受動的なものではなく、能動的なものだからだ。  もしこの作品が失敗作と見なされるのならば、それは男性が女性を理解することに失敗したことを意味する。アーチーはそれを失敗した男のカリカチュアなのだ。

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