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パニック・イン・スタジアム (1976)

TWO-MINUTE WARNING

監督
ラリー・ピアース
  • みたいムービー 19
  • みたログ 227

3.55 / 評価:75件

地味なパニック映画傑作①

  • カナボン さん
  • 2009年10月27日 23時07分
  • 閲覧数 1129
  • 役立ち度 22
    • 総合評価
    • ★★★★★

以前書かせていただきましたが、私が映画に嵌りだした1970年代はいくつかのブームが存在していた時代でした。もちろんオカルトやアニマルものも大好きなジャンルですが、やはり70年代といえばパニック映画ブームは外せません。「大空港」シリーズや「ポセイドン・アドベンチャー」、「タワーリング・インフェルノ」、「カサンドラ・クロス」などのオールスターキャストの超大作がこのブームの立役者であったことは明白。しかしこれらのメジャーな作品以外にも地味ながら印象に残る名作が数々存在します。

今日のお題目は「パニック・イン・スタジアム」です。

70年代のパニック映画のスターといえば、マックイーンでもニューマンでもハックマンでもありません。真の大スターはやはりチャールトン・ヘストンです。70年代のブームの中、「大地震」、「エアポート’75」、本作、そして「原子力潜水艦浮上せず」と次々に出演していました。がっしりした体格、精悍な面構え、やはりこの人が出てくると安心出来るのですよねw。

さて本作はアメフト王座決定戦が行われる10万の観衆で埋め尽くされたロスのメモリアル・コロシアムを舞台に、正体不明のライフル狙撃魔と警察・SWAT隊の息詰まる対決を描いたサスペンス・アクションの傑作です。実際にあったテキサスタワー乱射事件をモデルにTVムービーとして作られた「パニック・イン・テキサスタワー」をより大規模なパニック映画として再構築した作品。スコアボードの裏に陣取った狙撃魔がいつその凶弾を乱射しだすか、その張りつめた空気が何とも言えないスリル感を醸し出す。

この作品の独創的な点は、何といっても犯人の素生、目的といったものが皆目謎のままにされているところ。やはりスタジアムを舞台にしたパニック状況を描いた作品としてよく引き合いに出されるのが、以前レビューさせていただいた「ブラック・サンデー」ですが、こちらはテロリストの視点からも語られていて彼らの凶行を如何に阻止するかが焦点でした。だがこちらは何が目的で何をしようとしているのか、犯人の狙いが全く不明。彼が無差別乱射を始めない内にSWATを配置したりと地味な描き方ではあるが、現実的な恐怖を感じさせます。つまり率直にいえば「ブラック・サンデー」はフィクションの面白さを追求したのに対し、この映画はリアルさ重視のノンフィクション的な切り口の映画と言えます。

この運命的なスタジアムに集まって来た人々。腐れ縁の愛人関係のデビッド・ジャンセンとジーナ・ローランズの二人、マフィアの金を使い込んでしまいこの勝負に全てを賭けるジャック・クラグマン演じるツキに見放されたギャンブラー、目下失業中でクサっている父親を演じるボー・ブリッジスとその家族。それぞれの人生が語られる中、その全てがクライマックスの大パニックに収束していく。

ヘストンが演じるのは事件の指揮官ロス市警のホリー警部。何の要求もよこさず、不気味な沈黙を続ける犯人と対峙する警官の苦悩と苛立ちを流石に貫録ある演技で好演。しかしヘストン以外でもデビッド・ジャンセンやマーティン・バルサムといった実に渋い共演者で固めています。

中でもSWAT隊の隊長のジョン・カサベテスが抜群にいい。この手の映画、現場を仕切る指揮官はマヌケであることがセオリーです(「ダイ・ハード」はその筆頭よね、笑)。しかし本作は泣く子も黙る大スターヘストン叔父様、流石にこの名優にあまりにバカな役をさせることは出来ません。だからよくあるパターンには決してしていない。この微妙な二人の空気をヘストンとカサベテスが実に巧く表している。

クライマックスのパニックシーンは今見ても凄い迫力!それぞれの人生を送っていた人々が次々と凶弾に倒れていく。

犯人が射殺されてとりあえず物語は幕を下ろします。しかしわかったのは犯人の名前だけ。一体何が彼をこのような凶行に駆り立てたのかまったく説明はされない。そのかわりにラストで語られるカサベテスのセリフが痛いほど胸に突き刺さる。

この映画には悪名高い別バージョンが存在します。実はこの狙撃犯、別動体の強盗団の陽動作戦だったという呆れるオチ。この作品のファンとして慙愧に堪えませんね。

映画は夜明けのスタジアムの俯瞰で始まり、同じく夕暮れのロス市街全景の俯瞰で終わる。つまりこの映画はある一日の出来事を映し出した映画に過ぎない。たった一人の狂った人間、たった一丁のライフル銃が、平和な日常を地獄に変えていく。

ヘストンは米国ライフル協会の会長も務めていたほどの銃愛好家です。だから彼が真っ向から銃社会批判の映画に出演するとは思われない。確かに銃社会の暗部を映し出す映画ではありますが、それだけの映画ではない、私にはそう思えます。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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  • スペクタクル
  • 不思議
  • パニック
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