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パラダイム

パラダイム

PRINCE OF DARKNESS/JOHN CARPENTER'S PRINCE OF DARKNESS

103

吉田敬

4.0

ネタバレでんどんでんどんでんどんでんどん……

と、毎度、おなじみ、ギターも自前の、自作曲が流れ、カーペンター爺さんの紙芝居の始まり始まり…… 「ハロウィン」のドナルド・プレザンス、「ゴースト・ハンターズ」のデニス・ダンやビクター・ウォン、「ゾンゲリア」のリサ・ブロントと、役者も揃った! なぜかアリス・クーパーも出てるぞ(台詞ないけど)! ストーリーは、カーペンター好みの、「物体X」の焼き直しみたいな…… おおっと! こりゃ野暮ってもんだ。 公開当時、この映画、雑誌で滅茶苦茶にこき下ろされたんだよな。 そんな批評を読んで、それを真に受けて、観に行かなかった自分が、今となっては呪わしい…… レンタルショップでVHSテープを借りて観たら、けっこう面白いんだ、これが。 「エクソシスト」みたいなストーリーを、量子力学という、なかなか斬新な視点から再解釈を試みたものだが、俺はキリスト教の神父とか大学教授が、悪魔やモンスターに立ち向かうという、この手の映画がかなり好きだ。 カーペンターの作品で、カソリックの神父が出て来るのは、後は「ザ・フォッグ」と「ヴァンパイア最期の聖戦」くらいのものだが、どっちも好きだ。 ところで、カーペンターという監督は、骨の髄からインディーズなので、メジャー・スタジオとは、あまり相性がよろしくない。 アバコ・エンバシーくらいが関の山で、フォックスとかユニヴァーサルとかワーナーとか、そういうとこで仕事すると、監督のカラーが薄れて、拍子抜けの作品ができあがる。 どこかの馬鹿評論家が、カーペンターを肝っ玉の小さい、予算がつくと、ビビッてとんちんかんをやらかす男とか、当時、映画雑誌に散々なことを書いていたが、俺のマイ・フェイバリットは、 1 要塞警察 2 ハロウィン 3 ザ・フォッグ 4 ゼイリブ 5 パラダイム だ。 「遊星からの物体X」が入っていないって? まァそうだが、あれは監督が音楽を担当していない。 エンニオ・モリコーネが書いたスコアは、カーペンター節に くりそつだったが、それだったら、モリコーネに(おそらく) 目の玉が飛び出るような額のギャラを払うより、 自分で作曲して、べんべんギターを鳴らしてれば良かったんだ。 いい作品だが、あれはユニヴァーサルという大スタジオでつくられた ものだったから、ウェルメイド過ぎて、カーペンター度が足りない、 と俺は思う。 ウィスキーなら、ストレートでもオンザロックでもなく、水割りだ。 80年代当時、アメリカ国内で、頭一つ抜けた仕事をしていた ホラー系の監督は、間違いなくカーペンターとロメロだが、 ロメロは賢くて、生まれ故郷のピッツバーグを離れて、 LAに移り住むなんて馬鹿をやらかさなかったから、 良かった。 その点、カーペンターはメジャースタジオの作品に 対する憧れが強過ぎた(と思う)。 フィルモグラフィを見れば、それははっきりしている。 俺が思うに、どうもこの男、スピルバーグの ようなタイプの監督になりたかったんじゃなかったかと思う。 柄じゃないのにねェ…… 「ゴーストハンターズ」なんて、後で見返してみれば、 何のことはない。 ただの馬鹿コメディなのに、何を血迷ったのか、 日本の映画会社は、これを大予算でつくられた、 血沸き肉躍る大活劇であるかのように、 宣伝していたものだ(それに騙された俺も俺だが)。 しかしカーペンターも、これで懲りたのだろう。 メジャースタジオとはすっぱり縁を切り( というか三下り半をつきつけられ)、 また古巣のインディーズに舞い戻ってきた。 ウェルカムホーム! カーペンター! あんたを待ってたぜ!!!

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