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ハリーとトント (1974)

HARRY AND TONTO

監督
ポール・マザースキー
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  • みたログ 571

3.96 / 評価:206件

猫らしくいてるのが猫の仕事

  • karigamu さん
  • 2016年11月27日 19時59分
  • 閲覧数 941
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

老人と猫が旅する映画です。
長年住んでいたアパートを取り壊された老人ハリーは、愛猫トントを連れて子供たちを訪ねる旅に出ます。

家から独立した子供たちを訪ねて老親が旅をする映画は、東京物語やマルチェロ・マストロヤンニのみんな元気がありますね。
ハリーとトントは上の2つと比べてカラッというか、サラサラというか飄々としています。
これは主人公のキャラクターよると思うのですが、ハリーは頑固オヤジなんです。
偏屈ジジイと言ってもいいかも。
独立心も高くて、ハリーの旅を見てると分かってくるのですが、他者に対してフェアでオープンなんです。そして人生で幾つもある別れを、そういうものだ、と受け止める強さがある。
ムチャクチャな所もいっぱいあるけど、根本が前向きなんでしょうね。
ハリーの旅に途中からヒッピーの家出娘が同行することになるのですが、世代の違う若い女の子が旅の道連れでもハリーは別に頓着しない。

ハリーが慌てたり怒ったりするのは、飛行機に乗ろうとしたら猫のトントが手荷物扱いされそうになったり、長距離バスの運転手がトントのトイレ休憩を聞き入れてくれなかったり、ならば。とトントとバスを降りたら、トントが何処かに走り去ってしまったとき。
このときはハリーも途方に暮れていました。

トントは猫らしい猫で、映画の中で猫らしいことしかしません。リードを着けて散歩できるので、かしこい猫ではあるけれど、スーパーキャット大活躍!!というタイプの映画ではないです。
トントはただハリーのそばに居て、ハリーに話し掛けられ、相棒として扱われ、世話を焼かれ、旅の移動手段もトントを優先して考られる、そんな猫です。
猫のトントがハリーのことをどう思ってるのかは分からないけれど、ハリーがトントのことをかけがえなく思っているのは分かる。

けれども別れはやって来ます。
別れの場面、トントが横たわるゲージの前で、トントに歌を歌って聴かせるハリー。
その歌が明るくて勇ましい調子なのも切ない。

猫はある日私達のところにやって来て、私達はそれを所有します。と、同時に私達は猫に所有されるのだと思います。
猫は所有した私達に、身の周りの世話を焼くことや、猫のことを優先的に考える習慣を与えます。
そしていつか居なくなる。
居なくなって空気の猫になっても、気配は色濃く残ります。だから階段を降りて来る音がしたような気がしてドアの所に姿を現すのを待ってしまったり、街で見掛けた猫をウチの子じゃないかしら、と振り返ったりしてしまいます。

映画のラスト、トントが居なくなってもそれなり楽しくやってるハリーが、街でトントそっくりの猫を見掛けて思わず追いかける場面があります。
飄々として別離の耐性が高そうなハリーでもそんなに平気って訳じゃなかったんだ、と思ったラストシーンでした。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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