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ハリウッドにくちづけ

ハリウッドにくちづけ

POSTCARDS FROM THE EDGE

101

abb********

4.0

母も女優、娘も女優。そこはハリウッド。

「卒業」「シルクウッド」「ワーキング・ガール」などを監督したマイク・ニコルズが亡くなりました。60年代~00年代に監督した長編映画が20本に満たないという寡作な方でしたが、各年代に記憶に残るヒット作・話題作を持つ、クレバーな映画人だったと思います。自分的にはこの「ハリウッドにくちづけ」がお気に入りでした。 キャリー・フィッシャーの小説が原作の映画。脚色も、彼女自身。 ハリウッド内幕モノとしても観れますが、主軸はキャリー・フィッシャーとデビー・レイノルズ母娘の愛憎関係を描いている点。それでもライトな仕上がりで、少々地味め。しかもご都合主義的にコンパクトにまとめた感もあり、全体的にヌルいメロドラマが展開されていきます。極端に善悪を描いていないというリアリズムはありますが。 でもそんなライトな手触りが今作のキモでもあって、ジョーン・クロフォードを描いた「愛と憎しみの伝説」のようにトゥー・マッチ過ぎると、繰り返して観たくはならない(笑)。実際、「ジョーン・クロフォードのような母親が良かったって言うの!」なんてセリフをシャーリー・マクレーン扮する母親が言うシーンには笑ってしまいました。 親離れ、子離れの葛藤を描いていて、この点も惹かれる理由の一つだと思います。それはハリウッドに住んでいようが日本に住んでいようが関係ない、万人に共通する人生最大の命題だからです。 そしてもう一つのキモは、キャストが豪華なこと。メリル・ストリープとシャーリー・マクレーン二人の掛け合いは、何度観ても飽きません。 メリル・ストリープの、ビッグスターだった母親の影に隠れた、ちょっといじけた雰囲気を醸し出す中堅女優という役柄が上手くて、アカデミー主演女優賞ノミネートも納得の演技でした。 シャーリー・マクレーンは「恋のゆくえ」のミシェル・ファイファーに負けじと、ピアノ上でスカートを捲り上げる妖艶演技を披露!とにかく元気です。 他にもちょっとの出演ながらジーン・ハックマン、リチャード・ドレイファス、デニス・クエイド、ロブ・ライナー(!)などなど豪華な顔合わせ。大女優になる直前のアネット・ベニングも脇役ながら存在感を放っていました。 メリル・ストリープの力強い歌声が聴けるのも、本作の魅力です。アカデミー歌曲賞にノミネートされたカントリー調の「I'm Checkin' Out」を高らかに歌い上げます。まるで過去と訣別して新たな一歩を踏み出そうとするかのごとく。悩みと葛藤の後に訪れるそんな姿は、いつ観ても気持ち良いものだと思わされます。

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