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偉大なるアンバーソン家の人々 (1942)

THE MAGNIFICENT AMBERSONS

監督
オーソン・ウェルズ
  • みたいムービー 11
  • みたログ 89

3.83 / 評価:36件

そっ、そんなにケーキを食べたら…

  • bakeneko さん
  • 2015年12月28日 16時23分
  • 閲覧数 859
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

1919年にピューリッツァー賞を受賞したブース・ターキントンの同名小説の映画化で、オリジナルの131分版は存在せず、88分短縮版のみが観賞可能となっています。
19世紀末のアメリカ中西部を舞台にして、隆盛を極めた旧家:アンバーソン家が没落していく様子を、加速していくアメリカの近代化の波の中に描いていく作品で、 ジョゼフ・コットン、ドロレス・コステロ、アン・バクスター(20歳♡)、ティム・ホルト、アグネス・ムーアヘッド(TVシリーズ“奥様は魔女”のサマンサの猛烈ママ=エンドラの人です)らの好演と、撮影のスタンリー・コルテス&編集:ロバート・ワイズの見事な映画話法が光る“大河ドラマ&アメリカ文化史”映画の佳作であります。

本作は、19世紀末に近代化&大衆化の目まぐるしい進歩へと加速して行ったアメリカの近代化&その代償として失われた人間味への郷愁と、旧家のプライドによって没落していく一族の愛憎を活写していく―2本立てのテーマの作品ですが、流石に40分もカットした為に、進化加速してゆとりを失っていくアメリカ社会の描き込みは駆け足となっています。
一方で、母親から息子へと繋がっていく―“プライドで自滅していく名家の愛憎劇”は、名優達の演技によって見応えのあるものとなっていて、特に脇役であるオールドミスのファニー叔母さんを演じたアグネス・ムーアヘッドが見事なキャラクター造形に唸らせてくれます。

“「山猫」の様な数百年続いた本物の旧家ではなくても、アメリカなりに名門ってあったんだな~”と不思議な気持ちになる作品で、一族のプライドの高さは欧州貴族並みであったことも示される作品ですが、“経済的に没落しても“名家の血脈”のみでもヨーロッパの貴族は尊敬される“のと違って、”権力&財力がなくなると消失してしまう“のがアメリカの名家だという違いもわかります。

「市民ケーン」と同様に、オーソン・ウエルズの才気が横溢している作品ですので、不完全な短縮版でも見応え十分ですよ!

ねたばれ?
そういえば、今ではいつでも食べることの出来るイチゴのショートケーキも、昔は季節ものでしたね…

おまけーレビュー項目に無い、現代のヨーロッパ貴族の末裔を描いた自伝的映画のレビューを…
Viva la pappa col Pomodoro♪
『イタリアのある城で』(フランス:2013年:104分)
監督: ヴァレリア・ブリュニ=テデスキ、出演: ヴァレリア・ブリュニ=テデスキ、ルイ・ガレル、フィリッポ・ティミ

十年前に女優を引退してからボランティア活動などの仕事をしている―イタリアの名門城主の末裔であるヒロインの視点で、新しい恋愛&親族の死&城の売却…といった激変の数ヶ月が綴られていきます。
兄が深刻な病気に犯されていたり、押しかけてきた年下の恋人と葛藤を生じたり、借金のカタに美術品の売却や城の開放を迫られたり…と大筋で観ると悲劇的な展開なのですが、常に繊細な心理描写やユーモアが基調となっている陽性の語り口なので、映画のトーンが深刻に堕ちて行くことにはならず、儘ならない人生を軽やかに見せていく人生喜悲劇となっています。
実際に名門の出でお城で育っている(そして母親がピアニスト)―主演もこなしているヴァレリア・ブリュニ=テデスキの自伝的要素も濃い作品で、イタリアとフランスを行き来する&イタリア語とフランス語を両方を使う二重生活も、イタリア旧家の国境を越えた伝統を活写しています。

引用される音楽も凝っていて、全編のテーマでもあるジュゼッペ・マルトゥッチの管弦楽のための夜曲 ロ長調 作品70-1、母親が弾く―アルベニス(スペイン組曲)第5番などのクラッシック曲に加えて、ロッシーニのLa danza 踊り(TARANTELLA NAPOLETANA ナポリのタランテラ)や“私の心はパパのもの”My Heart belongs to daddy“といった曲も適材適所に使われていて、特に幸せだった子供時代を想起する―Viva la pappa col Pomodoro(トマトおじや万歳!)はエンドタイトルを明るく締めています。
この曲は日本では“トマト・ジュース乾杯”の題名で槇みちるのヒット曲として知られていますが、元来は1964年のテレビドラマ「ジャン・ブラスカの日記(Il giornalino di Gian Burrasca)」の主題歌です。トスカーナ地方のある家庭の、9歳という設定の少年と3人の姉、家族を扱ったホームドラマで、主人公の少年を演じたのが、実は女の子のボーイッシュなリタ・パヴォーネであります。作曲はニーノ・ロータ&チター演奏は、「第三の男」のテーマのアントン・カラスという名曲です。

40代の没落貴族の末裔のヒロインの冬→春→夏を生き生きとみせて、人生の一断片を映し出していく作品で、イタリア貴族の現在を垣間見ることも出来ますよ!

ねたばれ?
日本では、浅草浅草寺などで常香炉の煙を被ると霊験があるとされていますが、カトリックでは聖水なんだな~(冬は寒そう!)

詳細評価

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