ここから本文です

ビッグ・トレイル (1930)

THE BIG TRAIL

監督
ラオール・ウォルシュ
  • みたいムービー 1
  • みたログ 14

5.00 / 評価:4件

インディアンたちとの共存も模索する傑作

  • すかあふえいす さん
  • 2015年4月3日 16時21分
  • 閲覧数 319
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

ジョン・ウェインのデビュー作という一括りで片付けるには勿体無いフロンティア精神に溢れた作品。
まだまだサイレント時代の名残を残す1930年に制作された本作。
興行的には失敗だが、本作の内容は後の「小さな巨人」や「ソルジャーブルー」、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」に先駆けたテーマが描かれていた。
それはインディアンとの共存が可能か可能でないか。幌馬車隊は道案内としてインディアンたちと交流を結ぶ。

他のインディアンのグループたちとも交渉し、絆が結ばれようとしていた。
正しそれは交流したグループだけの話であり、事情を知らない別のグループとの戦いを避けられるという保証は何処にも無い。
インディアンたちも味方同士で殺し合わなければならないという理不尽さを目の当たりにする。

本作はジェームズ・クルーズの「幌馬車」さながらに西部開拓民たちの力強い生き様を雄大に描く。同時期の「シマロン」や後の「西部開拓史」とかと見比べるのもオススメ。
壮大な幌馬車隊がくぐり抜ける大自然の猛威。
河を渡り、
森を切り開き、
砂漠を超え、
嵐を乗り切り、
雪原を突破していく。
さらにはインディアンの襲撃、組織内における対立など内と外での戦いも絡んでくる。

登場人物たちも良い。
ジョン・ウェイン演じるアウトローのブレックは復讐という名の思い荷物を背負っている。
これは後の「駅馬車」にも活かされている。
ヒロインのルースは幼い弟と妹と共に西部開拓民たちと運命を共にする事を選ぶ。
世間知らずで今まで父親を頼りに生きて来たが、頼みの綱がなくなった今彼女は自立しようと生きる道を選んだ。
ブレックの仲間である猟師の爺さんジーク。
喰えない性格の好々じじさんだ。
幌馬車隊を率いる粗野なフランク。
ブレックが追う仇でもあり、フランクもブレックを殺そうと隙を伺う。

最初40分は幌馬車隊の生活模様と出発をじっくりと描きやや退屈だが、
人々のコミカルなやりとり、
月下でのダンス。
幌馬車の群れを円形にしてグルリと囲んだ中での団欒。
40分目におけるバッファロー狩りの迫力。
命懸けの河渡り、押し流される人々の描写が怖い。
そこに戻って来たウェイン、幌馬車の渡河を手伝う。
さらっと戻ってくるウェインのカッコ良さはこの時から感じられる。
50分目におけるインディアン(シャイアン)との交渉。
あの時のウェインは尻を撫でているようにしか見えない(笑)。
結婚式の直後に流れる不穏な空気もまた凄い。
幌馬車隊内におけるささやかな結婚式、裏では男たちの殺し合い。
この光と闇の描写。
終盤におけるインディアンとの戦闘の迫力。
幌馬車をサークル状に展開させる動き、インディアンの馬群の轟音。
一人、また一人散っていく命。
危機を乗り越えた幌馬車隊だが、生き残った者と背後の簡素な墓標の対比。
犠牲を乗り越え、それでも人々は前へ前へと突き進む。
安住の地を目指して・・・。
そしてラストの一瞬の決闘。
「銃」ではなく「ナイフ」というのが憎い演出。
最初あれだけピカピカの服装だったウェインが、砂や雪にまみれてヨレヨレの格好になり、また戻ってくる。
何度でも戻ってくる男のカッコ良さ。
穏やかなエンディングが何とも言えない。

娯楽に特化した作品が得意のラオール・ウォルシュだが、彼の真骨頂は娯楽中でしっかりと描かれる人間ドラマ。
「壮烈第七騎兵隊」しかり、「死の谷」、「遠い太鼓」しかり。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • スペクタクル
  • 勇敢
  • 切ない
  • かっこいい
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ