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必死の逃亡者 (1955)

THE DESPERATE HOURS

監督
ウィリアム・ワイラー
  • みたいムービー 9
  • みたログ 123

4.03 / 評価:39件

両者の、その必死さが面白い

  • yad******** さん
  • 2007年10月26日 19時05分
  • 閲覧数 409
  • 役立ち度 12
    • 総合評価
    • ★★★★★

画面の奥までピントを合わせる撮影手法、パンフォーカス。
『市民ケーン』が代表作として知られてますが、何を隠そうウィリアム・ワイラーもこの手法の達人で、『必死の逃亡者』において大変効果的に応用されてます。

「3人の凶悪脱獄犯が平和に暮している4人家族の家に立て篭もり、機を見て逃亡する」といういたって単純なプロット。
ほとんどが一軒家の室内で進む展開。
これまで「ワン・シチュエーション物の作品はカメラワークが命」と何度もレビューしてきましたが、この作品も例に漏れず、秀逸です。
‘逃亡者の必死な表情’と‘恐怖、憎悪、怒り、悲しみが入り混じる家族の表情’がパンフォーカスで同時にひとつの画面内に収まる。
同時だからこそ得られるはっきりとした対立の構図・立ち位置は、緊張感と臨場感を盛り上げ、生々しい人間ドラマを生み出すことに成功しています。

一方室外では警察とFBIの確執が描かれ、家族が警察に通報しない不可解な行動に説得力を持たせてます。
つまりは事件解決を優先し、人質の安全をかえりみないのではという警察への不信感が強く、実際その通りであること、そして自分達で家族の命を守る事を選択したのが賢明な判断だったのを描いてます。
結果、外部からの助けを期待できず孤立する家族、特に家長たる父親(フレデリック・マーチ)が抱える苦悩が浮き彫りになり、彼の必死さが強調される効果になりました。
本来は警察と対逃亡犯のかけひきが常套手段であるのに、家族対逃亡犯という構図に合理的な説明を得て、両者必死の攻防戦が手に汗握るサスペンス作品に仕立て上げました。

逃亡犯が立て篭もってからラストまで持続される緊張感はサスペンス好きにはたまらないです。
また、事態が一変してから見せるボギーの言動は、上質な人間ドラマとしての一面も垣間見れます。
パンフォーカス技法により、同時に複数の状況、情報を盛り込んだ事と、サスペンス作品としても十分上質であるのに、そこに重厚な人間ドラマをも描き出した結果、112分の作品なのに長編の作品を鑑賞したかのようなボリュームを得る事ができます。
映画監督の神様がサスペンス映画を撮ると、その道の名監督が撮った名作たちに決して引けを取らない、このような上質な作品を作り上げるのです。

小生意気な解説を垂れましたが、パンフォーカスがどうのとか、対立構図がこうのとか、そんな小難しいことなど気にせず、気楽に鑑賞できます。
ただ、先に述べましたがプロットはいたって単純なのに何故こうも息を飲むのかを考えた時、様々な仕掛けを無意識のうちに鑑賞者に刷り込んでいる監督の手腕に恐れおののくこと必至の作品です。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • パニック
  • 不気味
  • 恐怖
  • 勇敢
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