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いつの日かこの愛を (1989)

判我闖天涯/WILD SEARCH

監督
リンゴ・ラム
  • みたいムービー 1
  • みたログ 35

3.50 / 評価:10件

犯罪の陰に花咲く愛情

  • lamlam_pachanga さん
  • 2010年6月11日 0時49分
  • 閲覧数 448
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

香港映画における恋愛映画と言えば、80年代の『誰かがあなたを愛してる』と、90年代の『ラブソング』を挙げる人は多いと思う。だがもうひとつ、両作の陰に隠れた恋愛映画があるのをご存知だろうか。それが本作、『いつの日かその愛を』。

この映画は、どちらかと言えば男臭いアクション映画ばかりを撮ると「勘違い」されているリンゴ・ラムが手掛けた、今のところ唯一のラブストーリー。

彼は、当時の香港映画界では、女流監督のメイベル・チャンと並ぶ優れたストーリー・テラーだった。犯罪映画を手掛けることが多かったのは事実だが、それらのジャンルでも、しっかりした「ドラマ」を描くことを忘れなかった。本作は、そんなリンゴ・ラムの、映画人としての脂が最ものりきっていた時期に製作された映画。

ある事件をきっかけに知り合った男女(警官と犯罪者の妹)が織り成す、とても地味なラブストーリー。しかも、簡素ではあるが、二人が出会うきっかけとなる事件についての捜査が続けられることもあり、純粋なラブストーリーを期待してるとやや肩透かしを食らう(後半では、殺し屋との対決も描かれる)。描かれる恋愛模様も極めて地味。捜査で怪我をした彼に漢方薬を買ったり、心配で自宅へ電話したり、路上でキスする若者に対抗して手を繋いだり。でも、実はこの朴訥として心地良いエピソードの積み重ねこそは、リンゴ・ラムの十八番。この特徴は『プリズン・オン・ファイアー』等にも見受けられ、個人的には、ここに彼の映画監督としての本領があると思っている。

この映画は、決してドラマチックなラブストーリーではない。ましてやロマンチックな要素等は皆無。二人の心は、始めから答えが出ている。それは決して揺らがないのだから、そこにドラマが入り込む余地はない。二人に危機や試練が訪れるのは、あくまでも犯罪映画としての顔を覗かせる時だけだ。だからこそ、リンゴ・ラム(と脚本のナム・イン)は「犯罪の陰に花を咲かせる愛情」と言う物語をストレートに描くことで、この物語にドラマを生み出そうとしたのだろう。何も特別なことを描かずして、観客に「ふたりの距離」を認識させてしまうと言うのは、まさにリンゴ・ラムの面目躍如だろう。

主演の二人。チョウ・ユンファとチェリー・チェン(大ファンです!!)の演技も、ほとんど文句のつけ様がない。『誰かがあなたを愛してる』では、異邦の地における儚い絆をどこか子供の様な演技で体現してみせた二人だったが、今度はその真逆。犯罪の陰の中でもしっかりと花咲かせる愛情の物語を、リンゴ・ラムのそれに応える様に、実に落ち着いた演技で魅せてくれる。

ステレオタイプの登場人物ばかりで、ステレオタイプの物語を見せる。

これに「個性」を上乗せ出来なければ、その映画は凡作に終わる。

そこに「個性」を感じられるからこそ、ベタな映画も名作たりえる。

『いつの日かこの愛を』は、ベタな名作。

私に騙された方、ぜひ一度ご覧頂きたい。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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