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ファミリービジネス

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FAMILY BUSINESS

114

abb********

3.0

トシをとって理解することもある

10代のころ劇場に観に行ったけど、想像していた内容との落差にガッカリした憶えがあります。 あらすじだけ聞いたら痛快泥棒コメディみたいだけど、派手さは無いし、爆笑できる箇所も皆無。親子3世代によるスーパー泥棒チーム!みたいなキャッチーな宣伝に目が眩んでました。 でも宣伝以上に目が眩んだのは、豪華なキャスティングでした。 「アンタッチャブル」や「インディ・ジョーンズ最後の聖戦」後のショーン・コネリー、「レインマン」でアカデミー賞を受賞したばかりのダスティン・ホフマン、その美少年ぶりで日本でも旬の人気者だったマシュー・ブロデリック(「フェリスはある朝突然に」「トーチソング・トリロジー」は良かった!)。 この顔合わせは映画にハマりはじめていた自分には、魅力的過ぎました。 結果、俳優陣の力量に押されっ放しだったストーリーは、平坦な展開がつまらんなーという印象でしかなかったですが…(監督がシドニー・ルメットの時点で、コメディ要素を期待するのが間違いだと気付くのは、もうちょっと後のこと)。 しかし観返すと、当時は意識してなかった80年代末のニューヨークの街並みとか、アイルランド式の葬式の描写とか、脇道の部分に再発見が。 葬式にタルでビールを持ち込み、パーティーを企むヨボヨボじいちゃん達や、人が集まる所なら葬儀場でもお構いなしにブランド品を売りつけるセールスマンの商魂、死者よりも明らかに歳とってるけど、達者な車イスのバアさまなど、涙だけでなく笑いとユーモアで弔うシーンが面白かった。 そんな脇道が本編以上にこの映画の魅力ってのは問題かもしれませんが(笑)、こういう描写で人種のるつぼを実感する作品でもありました。 祖父はアイルランド系、父はイタリア系、息子はユダヤ系でもある。こんな3世代、ニューヨークならでは。多種多様な人間の、人生の悲喜こもごも。親子関係の難しさ面倒臭さ。 泥棒コメディって体はほんの隠し味でしかなかった。ニューヨーク派と称されたシドニー・ルメットは、間違いなくこれを描きたかったんだと思いました。なるほど、子供にはちょっとハードルが高過ぎた。 この映画、オープニングのタイトルやキャストのクレジット後に、ある物が映ります。なんじゃこりゃ?と思ったけど、ラストシーンに再び映って納得。納得というより、万感胸に迫るというか。 30年ぶりに鑑賞して、こういう撮り方をしてたんだと、再発見の連続でした。そしてアイルランド民謡の「ダニー・ボーイ」の叙情的なメロディと、サイ・コールマンの軽快なジャズの音色が、とても心地良かった。

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