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フィアレス

フィアレス

FEARLESS

122

god********

4.0

ネタバレ人生最高の瞬間

本作にはどこか崇高で神々しい雰囲気が漂っている。 それは人間の深遠の精神世界を表しているのかもしれない。 人間が生きている意味、その不可思議さを思わず感じてしまう。 飛行機墜落事故に遭遇し、生き残った主人公。 しかし、気味が悪いほどに冷静でいる。 常に微笑を浮かび、一見事故の影響がないかのようにさえ見える。 だが、見えないところで彼もまた、確実に傷ついている。 生と死の境界線に立たされた乗客。 皆がどっちに転んでもおかしくなかったはずである。 生きた心地がしない状況を経験し、死に直面し覚悟した人々。 何故自分が生き残ったのか。 何故自分は守ってあげられなかったのか。 生き残ったこと=幸運とは限らないのである。 体の傷は月日が経てば癒えるが、内面の傷は決して癒えない。 そんな不可視的な傷を、周囲の人々が実感することはできないだろう。 カウンセリングでも、損害賠償でも、慰めの言葉でも癒えることができない傷。 そして生きることへの恐れも、死ぬことへの恐れももはや薄らいでしまった主人公。 生の実感を、もう一度死のうとすることでしか感じられない彼の姿が哀し過ぎる。 ただ、彼は確実に生きているのである。 再び生と死の境界線に立ち、そして再び生きてこの地に帰ってきた主人公。 そんな彼にささやかな希望の光が確実に射し込んでいる。

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