レビュー一覧に戻る
フィアレス

フィアレス

FEARLESS

122

mii********

5.0

恐怖を超越した・・・その向うには

あまり酒を呑まない同僚が率先して缶ビールをグビグビやっていた。 ここは羽田空港、搭乗口ロビー。これから札幌までの職場旅行だ。 僕は窓側には座れなかったものの、久しぶりのフライトで心ウキウキ♪ でも彼は違った。口数なく一点を見つめ四肢を突っ張った腰にはすでにシートベルトもしっかり装着されている。 そんな彼から緊張と恐怖を拭い去ってやろうと冷やかし半分でかまってみても返事すら引きつる始末。微妙な揺れにも腕に力が入っている・・・そう、彼は恐怖と戦っていたんだ。 あの時は悪い事をしたな、君の気持ちになってあげれなかったこと。 恐怖に打ち勝つ勇気。今日も元気に働く同僚の姿がまぶしい。 しかし、この作品の旅客機は無事に着陸することがなかった・・・・・。 航空機事故は大惨事につながります。多くの方が犠牲になり生存者は少ないもの。 エンジン音の極わずかな異音に気づき“墜落”と“死”を悟った主人公が九死に一生を得て、同機に乗り合わせて助かったPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされる人々との心の交流を描く最上級のヒューマンドラマが『フィアレス』です。 事故で傷ついたのは身体だけではなく目に見えぬ心の傷が多くを占めるものなのです。 生きる光に導かれた主人公は大惨事を代償とし、その瞬間を「人生最良の日」とうたい新たなる自分に覚醒します。一方、自分のせいで幼子を逝かせてしまったと思い続け、心に深い傷を負ってしまった若い母親がこの主人公に絡んできます。 人間の心の悲鳴をぶつけ合って救われる者を通して物語は佳境へ。 恐怖や弱点を克服し変貌したはずの主人公が、思わず口にする言葉、 「僕を救って・・・・・」 クライマックス、遂に主人公に異変が、召されし時なのか・・・・・。 過去、実際にあった航空事故にも必ず起こったであろうテーマだから心に響きます。 限りなくノンフィクションに近いフィクション作品。 「このシーンは何?」と思わせる映画の導入部が上手い。そして一番観たい壮絶なる墜落シーンは回想で観せる、この手法。ありがちではあるがこの作品にはベストマッチでした。 期待を裏切らないあのラストシーン、あなたの心にも必ず熱いものがこみあげることでしょう。 お薦めの作品です。 いつもメッセージを下さるお気レビ、『 t 』さんにこの作品を贈ります。

閲覧数478