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フィラデルフィア物語

フィラデルフィア物語

THE PHILADELPHIA STORY

112

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5.0

延期された結婚式

1940年。ジョージ・キューカー監督。一度離婚したお金持ちの娘に別の男との再婚話が持ち上がって、という話。勝気で美しく、人々から「女神」といわれるキャサリン・ヘップバーンの人間の女性としての幸福を引き出してあげるのが三流雑誌に記事を書くために潜入している小説家のジェイムズ・スチュワート。元ダンナがケーリー・グラント。 主に再婚の結婚式前日を中心に話がすすみ、そこで酔っ払うヘップバーンとスチュワートの会話や浮気疑惑の描き方がすばらしい。彼女の心に火をつけて、しかしそれだけが役目だったスチュワート。。。離婚から再婚までの女性の心の移り変わりの話か、と思っていると実はそうではない、というのがさらにおもしろいところです。 「女神」とあがめられる理由として元ダンナのグラントが投げつけるセリフ「結婚したけど処女だからな!」が気にはなっていたのですが(何?この夫婦はセックスレスだったの?)、二人はそもそも正式に結婚式を挙げていなかったことが最後の最後にわかります。プラトニックな恋だったらしい。結婚していなかったのだから離婚もなかったわけで、浮気もあるはずがない。だからこれは、引き延ばされていたはじめての結婚式が最後に行われる話です。映画のなかに離婚や浮気を描きつつ、世間体を考慮して実はそうではありませんでした、みたいな映画。夢でもウソでも描いてしまえばなんでもいい映画の力。 ヘップバーンのすらりとした長身もすばらしいですが、56年にグレース・ケリーの最後の映画「上流社会」にもリメイクされていて、こちらもまた美しいです。

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