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深く静かに潜航せよ (1958)

RUN SILENT, RUN DEEP

監督
ロバート・ワイズ
  • みたいムービー 7
  • みたログ 76

3.55 / 評価:29件

女人のポスターなど考えられへん。

  • shinnshinn さん
  • 2020年6月8日 2時35分
  • 閲覧数 168
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

1958年劇場公開のロバート・ワイズ監督作品。モノクロです。もともとは編集出身の監督さんです。なので、常にお話が噛んで含めるように的確、かつ丁寧で、観客に物語の流れが分かりやすいのが特徴。氏は「ウエスト・サイド物語」(61)や「サウンド・オブ・ミュージック」(65)のようなミュージカルも撮るし、本作や「砲艦サンパブロ」(66)のような戦争映画も撮ります。かと思えば、SF、ホラー、恋愛などそのジャンルは多岐に渡り、自身の信念や作家性より、制作会社が提示した企画や意図を充分に理解した上でメガフォンを取るような、腕っこきのハリウッド職人(映画制作請負人)という気がする。何でもそつなくこなすので会社も安心なのかもしれない。職人であり、格調高い巨匠でもあると言うタイプは極めて珍しい(エンタメを計算しながら、品格もあるのだ)。


お話は、いわゆる潜水艦モノで、時代は1942~43年の太平洋戦争です。真珠湾攻撃から1年後、すでに九州と四国の間の豊後水道に、アメリカの潜水艦が出没していたのかと思うと、やはり日本のガードは甘かったんだなぁと。海も空もダダ漏れだったんだ(彼らは真珠湾攻撃から、わずか4ヶ月後には日本本土の空襲に成功している・ドゥーリットル空襲参照)。


見どころは日本軍の駆逐艦秋風とアメリカの潜水艦ナーカ号の一騎打ちです。戦いの駆け引きや、艦内の息が詰まるような緊張感、艦長と副艦長の対立、男臭く狭い閉鎖空間での乗組員の生活などのファクターに、後に撮られる数々の傑作潜水艦モノの面白いエッセンスがすでに散見されます。前年に公開された「眼下の敵」(57)もアメリカの駆逐艦とドイツのUボートの戦いらしいが、残念ながら僕は観ていません。当時は潜水艦ブームだったのかしらん。


主演の復讐心に燃える艦長が「風と共に去りぬ」(39)で100%の<したり顔>が素敵だったクラーク・ゲーブルで、乗組員から人望が高い副艦長が「OK牧場の決闘」(57)や「山猫」(63)など、渋くて重厚な芝居のバート・ランカスターです。この組み合わせがいかに豪華なものだったのかを、今の若い方に説明できないのがとても悔しいぐらい豪華です(やっぱり、昔のハリウッドスターは単なる二枚目にとどまらず、その存在感が素晴らしい)。脇役には「十二人の怒れる男」(57)でヤンキース戦見たさに、早く結論を出したがる陪審員7番を演じたジャック・ウォーデン(「天国から来たチャンピオン」(78)のコーチ役もいいです)や、「荒野の七人」(60)で死に際まで一攫千金を夢見ていたブラッド・デクスター(ユル・ブリンナーが「金鉱だ」と嘘までつくやつ・笑)。


日本の駆逐艦秋風を撃破するラストには「苦労と努力の末、僕らは勝利をつかみました」というアメリカ側のカタルシスがあり、それには結局、戦後13年の1958年当時、ソ連と冷戦中のアメリカ政府が、ハリウッドに意図的に作らせた国策映画的匂いも感じます(日本は戦後、戦争なんか金輪際やりたくない!とばかりに、ひたすらマジメに反戦映画ばかり作っていました)。ちなみに、駆逐艦秋風は実際に存在しましたが、この映画の戦歴は完全なフィクションです。<駆逐艦秋風虐殺事件>というのがあったそうだが、ここでは本作と関係がないので割愛。


劇中、字幕を読まなければ、彼らが何を言っているのか僕にはよく分からないけれど、<ジャップ>という言葉をしばしば耳にいたします。


「ファッキン・ジャップぐらい分かるよ、馬鹿野郎」(笑)。彼らは豊後(ブンゴ)をバンゴと発音する。


臨戦態勢に入る時の、潜水艦の乗組員たちがみんな、壁に貼られたピンナップガールのお尻にタッチするという風習(験かつぎなのか?)が実にヤンキーっぽくてイイ。こんな事は洒落の分からない大日本帝国海軍では許されないこと(貴様はそれでも大日本帝国の軍人かぁ!恐れ多くも陛下から下賜された戦艦に、薄着の女人のポスターを貼るなど何事かぁ、歯をくいしばれ・・・。気合いだけは立派だが、それでも負けるときは、負ける・笑)。


戦後の日本人には一転、アメリカが燦然と輝く一番の憧れの国になったのだが、アメリカの現状を見るとほとほとガッカリする事ばかりだ。昨日のテレビニュースで黒人が400年変わってねぇ!と絶叫していたが、<僕らが憧れたアメリカ>はハリウッドが作った巧妙な絵空事だったのか・・・。

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