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武器よさらば

武器よさらば

A FAREWELL TO ARMS

152

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5.0

死と帰還と雨

1957年。チャールズ・ヴィダー監督。第一次世界大戦時のイタリアで、軍隊の医療救護で働くアメリカ人中尉(ロック・ハドソン)と看護助手のイギリス人女性(ジェニファー・ジョーンズ)の出会いと別れ。ヘミングウェイ原作の映画化。戦争に嫌気がさしてくるハドソンが「どうせ殺される」と繰り返したり、雨の日に死の恐怖を感じるというジョーンズが最後に本当に雨の日に死んでしまったりという「終わり=死の予感」に満ち満ちた映画。幸福な場面でも悲劇的な結末を見据えていて、暗い予感に包まれています。 制度としての結婚を回避して二人で一緒にいられる実質を選ぶのですが、常に「これではいけない」という自己規制が働いていて至福の感情を抑えている。ハドソンはまだしも、ジョーンズの吊り上った目と奇妙にゆがむ唇がメロメロになり切れない要因。もっと徹底した怖い女がぴったりの表情です。彼女が出た恐怖映画ってないのでしょうか。 死んだ婚約者が「帰ってきた」つもりでハドソンに身を任せるジェニファーがきっかけで愛が生まれてしまう二人。最初から死にまといつかれているのですが、その後、戦場に行くハドソンはけがをして、または脱走して、ジェニファーの元へ「帰ってくる」ことを繰り返す。反復する帰還のたびに愛が盛り上がるけれど同時に必ず雨が降って不吉な陰に見舞われる、という映画でした。

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