冬の旅

SANS TOIT NI LOI/VAGABOND

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冬の旅
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作品情報上映スケジュールレビュー

あらすじ・解説

解説:allcinema(外部リンク)

作品レビュー(7件)

切ない20.8%悲しい16.7%泣ける12.5%絶望的12.5%知的8.3%

  • 一人旅

    4.0

    ネタバレアニエス・ヴァルダのさすらう女

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • joy********

    5.0

    絶対的自由とは何か

    フランスって案外女浮浪者多いんですよね。 それがまだ高校出たてのような若い娘から、年金生活するくらいのよぼよぼの老婆まで、ほんと年齢層が幅広い。 パリの自宅付近、エフェル塔近辺を夜中ジョギングしていると、思わぬところで路上の闇に紛れてうずくまっている人影につまずきそうになる。 7区の廃兵院の裏あたりの、街頭のあかりの届かない歩道のうえでダンボールにくるまっている黒人の中年女性。いかにも歴史ありそうな物々しい建物が高い塀で囲まれ、みじんのほこりもないほどキレイに履かれた通り。よりによってどうしてこんなところで、って何度か話しかけようとしたけど、まるで正体がなくてらちがあかないんだ。 一昨年前のパリジャンの三面記事で年配の女性路上生活の静かな死が報じられていた。場所は10区と19区の境にある運河のほとり。あのへんでも歯の抜けた薬中っぽい女浮浪者とかよくみかける。どうやら地元では名物らしくて、付近で商売を営む人の間では風物詩と化していたらしい。しかし、誰も彼女がいったいどこから来のかも知らず、彼女の素性に興味をもとうとしないのがみそなんだ。死因は凍死とも、餓死とも。パリジャンの記者がこれを機会に本腰を上げて彼女の足跡を追跡する。それでわかったのは、ノルマディの田舎町出身の60歳、路上生活暦30年以上とか。驚いたことに実家に、これまた棺おけに片足入れかけたような高齢の兄が一人残っていたのだが、連絡は数十年来途絶えていたという。若い頃の彼女の写真も紙面に小さく掲載されていた。死の直前のぶかぶかと太り、廃人同様になった姿とは似ても似つかない、卒業アルバムなんかでよく見る感じの、若くてうるわしい、かなりの美人のお嬢さんの顔写真。将来の暗い影がまだ差していない愛らしく、健気な笑顔。決して貧しいとはいえない中産階級の家庭の出で、子供の頃は日曜の教会通いを欠かさないほど模範的な生徒だったとか。高校を卒業と同時に上京して一人暮らし開始。その頃から素行が悪くなり、男関係の問題とか、薬物依存とかで生活が荒れ始める。当時の彼女を知る数少ない証言によれば、パリに来て最初に知り合った男が素相当のジゴロだったようで、ナイーブな田舎娘は見事に弄ばれ、立ち直ることのできない傷心を受けることになる。以来、不定期的にパリと実家を往復する暮らしが続き、20代後半のある日、不意に無一文のまま家出したまま消息が途絶えたという・・・・ 前置きが長くなりましたが、この映画を見るたびに思い出すのは、パリジャンに出ていた女性路上生活者の死亡記事のことです。自分が見聞きしたところから判断するに、おそらく彼女のようなケースはフランスでは氷山の一角でしかないみたい。モナのような少女、家族を棄て、友人にも頼らず、社会が差し伸べるいっさいがっさいを拒否して生きる若い女性の姿に、フェミニズムの発祥地であるフランスのなれの果てをみたとしたら、シニカル過ぎるでしょうか。フランス人女性とつきあったことのある人ならご存知でしょうが、彼女らの自我の強さは、個人主義の盛んな北西ヨーッロッパでも屈指のものです。それは一面あまりにも徹底しすぎていて、まるで男権社会が犯してきた過去の罪業を(自分たちが生きている)一世代の間に清算したがってるかのよう、悲壮感さえ漂っている。しかし学校の教育自体がそのようなものだから、あながち彼女らばかりも責められない。70年代に欧米の思想界を一世風靡したポストモダンの作家たちの戯言を聞いていると、個人主義を主張しているのか、アナーキズムを煽動しているのか、時々わからなくなることがある。自分の信念に忠実であれ、と物心ついたばかりの少年少女に推奨しておきながら、社会脱落者には微塵の慈しみも見せない、この縁の薄さ。隣人への無関心さ。集団の束縛が強い日本のような社会に暮らしていると、モナのように絶対的自由を享受している若い女性の姿を見て一種のないものねだりのようなものを感じることがあるかもしれませんが、帰属する場所がないことほど、人として生きていて恐ろしいことはないですよ!ましてや夜の宿も保証されていない女性の一人旅に伴う危険のことなど、いったいどれだけの人が理解していることでしょう!

  • ser********

    5.0

    自由を叫ぶ愚か者に問う《真実》

    自由。今更こんな言葉の意味を問うても仕方あるまい。 この国にも《自由》と名のつく冠にぶら下がり、勝手気ままに生きる人間達がそこら中に闊歩している。抑圧された世界から解放され、自分のやりたい様に生きられる世の中。それが戦後の日本の姿。 でも果たしてそうなのか?我々は本当に自由になったのか? そもそも《自由》って何だ? このヤフーの映画レビューにも【自由】という名のもとに、勝手気ままな言葉が踊っている。面白い面白くない、傑作だ駄作だ、作った奴死ねよ等等。とにかく自由である事は全て許されるかの様に、そこに人生を賭けてその映画を作った人々がいる、って事も理解せず吠える吠える(笑)。ならお前が作れよ、ってきっと彼らは言いたいに違いない。そーいうヤツに限って面と向かうと何も言えない。だからこーいう匿名の場所で吹く吹く(笑)。でもそれが彼らの信じる《自由》だ。  だがそんな自由は、現実と戦って勝ち取った国の人間から見れば、所詮イタチの最後っ屁みたいなもんだろう。はたまた、そんな上等な国で語られる自由なんてのも、所詮政争の具に使われているのが現実だ。 何故か? 本当の自由なんてものは全てから解放される《死》しかありえないからだ。行き着く先は死。その究極、完全無比の《自由》なんて誰も手に入れたくないでしょう?結局、現代人の嘯く《自由》なんてものはお釈迦様の手の平で駆け回って自由だと信じている孫悟空と同じだ。 この映画を見てしまえば、我々が語る自由なんて言葉がいかに空しいものかよーく分かる。手垢のついた辞書みたいなものです(笑) この映画は一人の少女が行き倒れで道の側溝で死んでいるところから始まる。少女の名前はモナ。ただそれだけ。彼女がどこから来て、どんな過去があったかなんて誰も知らないまま、彼女は共同墓地へ埋葬される。彼女の物語は、その死ぬ数週間前に出会った人々の証言によって語られていく。それが物語の全てだ。  そんな彼女が出会った人々もまた、《自由人》を標榜している人間達である。元学生運動家のリーダーや、彼女のようにさすらいの旅をする青年、はたまた死んでゆくプラタナスの研究をする女等、まさに登場する人物は自由なる国フランスらしい人々だ。しかし、この映画は自由奔放な少女の孤独とともに、人々が自由を謳いながら、その【限界】につきつけられている姿を見事にあぶりだす。 所詮【社会の繋がり】があるゆえの【自由】である。 どんな人々もフリー面したり、金を自由に稼ぐといったかりそめの【自由】に踊らされながら、でもそれを取り巻く【社会】からは逃れられない。学歴社会や資本主義。はたまた階級や家族や国家。そんな《枠》にとらわれながら叫ぶ自由なんざ結局、限界があって然るべきなのだ。だがこの映画のヒロインは、そんな《枠》をまるで風の様に通り越し、辛く厳しい孤独な旅を一人続けていく。 この映画は答えを見せない。当たり前だ、答えのない旅をする事で彼女は己、という存在を見つけ出そうとしているのだから。彼女の前では《自分探し》なんて言葉を甘っちょろく使う現代の若い人間達なんざ、 『自由って言葉を語るんじゃないわよ!』 って怒鳴られそうだ(笑)。彼女を前にすると私は《自由》という言葉をそう軽々とは使えない。人間、まったくの自由にすると何をやっていいか分からなくなるものだ。何もする事がないと寝るしかないのと同じ(笑)。このヒロインを演じたサンドリーヌ・ボネールはまさに《自由の代償》を我々に提示する。だからこそ彼女はまっさらだ。この映画が清らかなのはそのせいなのだ。  皆さん、自由を語る前にもう少しその言葉の意味に思いをはせて見ましょう。現代の《自由》には《責任》も伴う、という事を考えながら言葉を使いましょう。  なーんて、偉そうに語るのも《自由》なのだあー(笑)  いやあ、自由って本当に素晴らしいもんですねぇ。  本当に?

  • poo********

    5.0

    マイ生涯ベスト10に入る作品

     本当に大好きな作品なのでレビュー書くのに随分考えました。 20年近く前に観た作品なのでもしかしたら覚え違いしてるところもあるかもしれない・・・細かいところなど正直忘れてます。 なのにどこがそんなに好きなのか?   ひとつには主役の少女が潔いところ。 彼女は人生の最期を野垂れ死にという形でしめくくります。だけど彼女自身は多分それを悲しいとも思わないでしょう。(死んだのに思うも何もないかもしれませんが。) なぜなら彼女にはそれは自分が選んだことだとはっきり分かっているからです。 野垂れ死にしようと思って生きてきたわけではない。しかし自分の今の状態は他の誰のせいでもなく、自分自身が選んで歩いてきた道のせいだということを言葉でなく分かっていると思います。 私も彼女を哀れとは思えません。彼女は絶望して死を選んだわけではありません。彼女は一貫して同情など求めていません。    そしてその潔さと切り離せない、孤独さ。  獣のような孤独さと表現しようかな。。 孤独な人間は大勢います。「人間は皆孤独」とも。 しかしほとんどの人間が「自分の事を誰もわかってくれない」と孤独を感じるのに対して、彼女は「自分をわかってほしい」とすら思っていないのではないかと見えます。「わかってなんかくれなくてもいい」ではなく、「わかってほしいって・・・何を?」というふうな。 もう一度観たいです。 そして言い訳せずに生きていきたい。とせめて思いたい。

  • big********

    5.0

    ネタバレ私自身・・・・

    このレビューにはネタバレが含まれています。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

LA批評家協会賞第12回

外国映画賞女優賞

ヴェネチア国際映画祭第42回

金獅子賞国際評論家賞

基本情報


タイトル
冬の旅

原題
SANS TOIT NI LOI/VAGABOND

上映時間

製作国
フランス

製作年度

公開日
-

ジャンル