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ブラザー・サン シスター・ムーン (1972)

BROTHER SUN, SISTER MOON

監督
フランコ・ゼフィレッリ
  • みたいムービー 69
  • みたログ 219

4.09 / 評価:98件

「母さん、息子が変な宗教に!」

  • tgt***** さん
  • 2011年8月26日 11時24分
  • 閲覧数 1216
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

中世のキリスト教、フランチェスコ修道会の始祖となる人の
若き日を描いた伝記を、
大変にさわやかな青春映画にアレンジした大傑作。

宗教映画というと、例えば昔の「十戒」「ソドムとゴモラ」などのように、
娯楽映画として作られてさえ、押し付けがましい教条が物語の主題になり、
異教徒の身からすれば、それが鬱陶しくもあるのですが。

本作は、戦争で身も心も傷ついた青年が、
人間の素朴な幸福への希求、人間性への回帰へと、
灰色の心象風景から立ち上がり、
鈍く輝く現実へと踏み出していく様を
実に清々しく描き出しています。

フランチェスコの求める理想は、たぶん倫理的には正しい。
しかし経済的、社会的には困難な理想主義でしかないのも事実で、、
ローマ法王以下の既存のカトリック教が政治と欲に溺れている姿と
対比したとしても、作品の中で「完全な正義」という立場を
保障されてはいない。

作品が理想主義に耽溺し、その正義に安住するような
独善に陥っていないところも実に潔い。
実際、「息子が妙な宗教にかぶれて、変なことを言い出した!」と
混乱、苦悩する家族の様子が仔細に描かれているし、
ラスト、ローマ法王の行為を侍従同士が分析して語り合うシーンの
シニカルな味付けには唸らされる。

それら全てを包括して、とてつもなく素晴しいのが
全編を包む、映像の美しさ。
冒頭、霧の中から現れる町の幽玄な美、
フランチェスコが屋根の上で小鳥を追う目覚めの場面の
美しすぎる構図。広大な原野が四季を越えて色合いを変え、
その中に、フランチェスコたちの小さな教会が徐々に
姿を現していく様子。

極めつけ、クライマックスのローマ・カトリック教会での
一連のシーンは、まるでベラスケスの絵画が
そのまま動き出したかのような壮麗な美の極み。

静謐な場面であるにもかかわらず、
そこには圧倒的な映像スペクタクルが展開している。

いやむしろ、本作では全編が、映像による
「美」という名の小宇宙を完璧に形成しているとすら言っていい。

監督は、当時「ロミオとジュリエット」など、古典劇の
青春映画化で名をはせた、舞台監督でもあるフランコ・ゼフィレッリ。
やはり、芸術的素養のある映画人の作る作品は、
「画」から放出される映画的エネルギーが、格段に違う事ががわかります。

CGなどという「概念」すら存在しなかった時代、
映画はすでに、ここまでの域に達していたことに
驚くこと間違いなし。


あらゆる宗教、宗派、信条の違いなど関係なく、
(私もキリスト教徒ではもちろんありません(^^;)
ぜひ一度見ていただきたい作品です。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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