レビュー一覧に戻る
愛のアンジェラス

愛のアンジェラス

EL CRISTO DEL OCEANO/CHRIST FROM THE OCEAN

91

bakeneko

5.0

ネタバレ純粋なもの…

アナトール・フランスの短編小説『海のキリスト』に基づいた、宗教の原点とも言える純粋な心のふれあいを叙情的な映像と音楽で綴った佳作であります。 星川とみの漫画ではありません(念のため)。 ”angelus”とはキリスト教用語で「お告げの祈り」、またはその時刻を知らせる「お告げの鐘」の事であります。 小惑星の名前にもなっている、1921年にノーベル文学賞を受賞したアナトール・フランスは、『赤い百合』『エピクロスの園』等の名作が多いフランスの作家であります。本作は、原作短編を上手くスペインの風土に舞台を変える事に成功していて、海辺の風景を中心とした映像の素晴らしさや純朴な人々の描写は、あたかもスペインで生まれた原作のようであります。そして、物語の中核を成している“純朴なキリスト教感覚”は、寧ろ旧教国であるスペインにピッタリの感じがするのであります。 捻った展開や、派手なクライマックスはありませんが、素朴で表現で純粋な感覚を描いた素直な作風で、「汚れなき悪戯」等を堂々と創る事の出来る御国柄に裏打ちされた“清心な心”を魅せてくれる映画であります。 そしてリリカルなテーマ曲は、ブルーノ・ニコライの代表作と言える透明感で静かな感動を添えてくれるのであります。 ファシズム独裁政権のフランコ政権下で知名度の低い俳優&スタッフによって、本作の様な宝石の輝きを持った作品が創られたこと自体が奇跡なのかもしれないと思わせるー純粋な作品であります(奇跡のソフト化を希望!)。

閲覧数515