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フランケンシュタイン (1931)

FRANKENSTEIN

監督
ジェームズ・ホエール
  • みたいムービー 8
  • みたログ 171

3.40 / 評価:55件

功績も、罪も、絶大な作品

  • cyborg_she_loves_me さん
  • 2017年10月27日 0時14分
  • 閲覧数 504
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

 フランケンシュタイン映画・ホラー映画の歴史の中で果たした役割は、もちろん「超」がつくほど絶大な映画です。よく言われるように、「フランケンシュタイン」という言葉を聞い瞬間に、ボリス・カーロフのこの顔を誰もが思い浮かべますからね。この映画を見たことがない人ですら。

 でもね、そういう歴史を全部切り落として、この映画単体で見て、楽しいとか、怖いとか、素晴らしいとかと思う人は、今ではもういないんじゃないですかね。
 つまり、当時の観客と、以後の映像製作者たちの硬い頭に消えない印象を刻みつけた、という功績を果たし終えたら、もうそれで役目は終わった作品だと私は思います。

 この怪物男の造形・デザインは、たしかに天才的に秀逸です。人々のイメージをしらずしらずのうちに引き寄せてしまうだけのものはあります。
 が、いったんそれを見慣れてしまったら、この怪物、ぜんぜん怖くありません。普通の人間よりちょっと力が強いだけで、身長も図体もぜんぜん大きくないし(原作では身長2.5mの大男なのに、ここでは彼を作った科学者ヘンリーとほぼ同じ)、知能は低いし、動きは鈍いし、映画見てても、なんでこんなニブいやつすぐ捕まえられないんだよ、と、追跡している連中の馬鹿さ加減がむしろ笑えてしまうだけです。
 人の「心」に訴えるものがなんにもなくて、ただヴィジュアル的な要素だけで人を怖がらせようとする映画っていうのは、まあ寿命短いですね。

 メアリ・シェリーの原作は、皆さんご存知のとおり、そんな短時間で消滅するような薄っぺらな、安っぽい代物じゃありません。こちらは今でも燦然と輝きつづける名作です。それは、これが「ホラー小説」なんかでは全然ないからですね。人間の「心」って何か、「愛」って何か、「生きる」ってどういうことか、ということを、鋭く問いかける作品だからです。
 そういう名作を、ただのゾンビ物語の方向にねじ曲げてしまって、以後の人たちに「フランケンシュタイン物語というのはこういう話だ」という先入観を刻みつけ、原作をあらためてじっくり読んでみようという気力を失わせた、「超」がつくほど巨大な「罪」を作った作品でもあると、私は思います。


 余談ですが、「フランケンシュタイン」の視覚化作品で、もっとも優れたものだと私が思っているものは、伊藤潤二さんのコミックです。「恐怖マンガCollection」の16巻に収録されています。ぞぞーっとするほど怖いと同時に、なんて悲しい物語なんだろう、と、胸が締め付けられるほど切なくなります。
 このコミックは、100年後でも読者の感情を揺さぶると、私は断言できます。

詳細評価

物語
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