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古井戸 (1987)

老井/OLD WELL

監督
ウー・ティエンミン
  • みたいムービー 12
  • みたログ 37

3.15 / 評価:13件

問題定義しただけではないエネルギー満載の力作

  • ilove70mm さん
  • 2015年10月31日 9時15分
  • 閲覧数 578
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

東京国際映画祭の第2回か3回の時のグランプリ受賞作品であり、ウー・ティエンミン監督の名作だということは知っていたのですが、DVDも紀伊国屋書店発売の例の高い値段のやつだし それも既に廃盤となりアマゾンの中古でさえ5000円するという作品だから 見る機会もなくもう諦めていたところ、今年の第28回東京映画祭でなんと 昨年亡くなられたこの監督の追悼上映というカタチでデジタルリストア版が上映されると知って思わずというかやっと観ることが出来たわけです。
なんといっても チャン・イーモウが主役の青年役で出ているし 27年前の中国映画にも興味があったわけで 荒廃とした中国の山奥の貧しい村の姿を描いていますが、そういう時代背景も知らずに観たところ ここで描かれている10キロも歩いて毎日水を汲みに通う人たちの姿は これはどうみても50年前の話なのか?と疑いもなく見入ってしまいました。
しかし これは公開当時の数年前の現実なのだとか!
亡き監督の娘さんと イーモウの奥さん役を演じた呂麗萍という女優さん(この女優さん50代後半だと思われますが きれいだったなあ・・・)の登壇でQ&Aもありました。
そこで この作品には監督自身も出演している(どこのシーンのどの役なのかは説明はなかった) とかイーモウは 撮影監督も兼任しながらの主演だということも話されていました。
三島由紀夫に似たマスクに細マッチョのイメージのイーモウが当初俳優もやっていたことには驚きました。
ただ観客の質問のひとつにラスト近く井戸の底での事故で亡くなった 主人公の仲間の母親が その井戸に いくつもの赤い印を付けた手造りでの紐を垂らした傍で泣き叫んでいたシーンのことがありまして、あの赤い印の紐にはどういう意味があるのか?との問いに 監督の娘さんは答えられず、呂麗萍さんが自分の想像での意見を言っていたのが少し残念ではありましたが・・・
さらに公開後、中国国内でもこの村の存在が話題になりロケ現場として来訪者も多くなり、何年か後にスタッフ・キャストがこの村を訪れると 村の入り口に 感謝のアーチが掲げられていたとかの話も紹介されていました。
まあとにかく この監督さんの大地に根を張ったような 乾ききった空気感というかリアリズムな匂いも漂わせた撮り方には感心したのは確か。
少なくともまずは 水の無駄遣いは慎みたいと誰もが思わざるを得ないような現実を見せ付けられてしまいましたが、はっきり言って2人の女からあそこまでモテモテの主人公の 恋愛関係を表現するシーンは この作品の主題にはそぐわないのでは?というところが いくつか目に付きましたね。
我々の生活環境と比較して あまりに違いすぎる歴史とその日常で起こる事件や風習の中でのそれは 想像もつかない我々にとってどうしてもこの映像だけからは理解し難いし、そこに男女関係から男娼の話までが会話に入ってくるとは・・・ ここはひとつ欲張らないで 村人の水に対する闘いの歴史に比重を高めて欲しかったですね。
ただ あの中国であの怒涛の政変の中で製作された一見地味に見えるテーマの中でのこの作品の持つエネルギーにこそ この恋愛表現は必要だったのかもしれないと今、強く感じています。
そうしなければ中国の一般大衆からの支持も評価もされなかったと思うからです。紀伊国屋書店からのビデオ再発を願うばかりです。

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