偉大なるハートマンを描いた芸術
- nis***** さん
- 2018年3月12日 8時00分
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マリーンというのは米軍の中でも群を抜いて勇猛果敢な連中なんだな。
世界の歴史上でそういう軍隊は必ず強烈な「理不尽」の中で育成されるんだよ。
米軍は現在世界一強力な軍隊だけど、普通の兵士は現代民主主義で訓練されるから。
だから、ちょっと厳しい戦場に投入されれば、みんな頭がおかしくなっちゃうのな。
しかしマリーンは違う。常に最前線、最も厳しい戦場に投入され、作戦遂行を成し遂げてきたんだな。その実効力の根源が、あの訓練にあるわけ。
なんであんなデブがマリーンになれたのかは不明だが、まあ何かの手違いがあったんだろう(笑)。人間は居場所を間違えると不幸になるんだな。
あのハートマン軍曹は良い。真に人間を愛し、育成するということの価値を理解し実行している。ああいう人間たちが社会を支え、歴史の底辺を担ってきたんだな。崇高な人間なんだよ。
ハートマン軍曹は『微笑みデブ』とレナードを呼ぶよな。軍曹のような人間には一目でその人間性が見抜けるんだよ。
つまり自分は何もしないで他者から愛されたい、攻撃されたくない、という卑しい心理が「微笑み」であり、動かなかった、躍動してこなかった人生が「デブ」ということなんだな。
つまりハートマン軍曹はレナードに「躍動しろ」と言っているんだ。
名前というのは、その人間の象徴だから。
私なんかもよくあだ名をつけるよな。こないだも人様のお嬢さんに病原菌のあだ名をつけたけど。まあ本人は喜んでるよなぁ(笑)。
しかし言い換えればあだ名は象徴に違いないから。その人間が変われば名称も変わるし、またはその意味するところも変わるんだな。
レナードはイジメ抜かれる日々の中で、ようやく躍動を始める。気付くんだな。その気付きを得させるための軍曹のシゴキだから。
やはり軍曹は偉大なんだよ。
レナードは軍曹の言葉の中から一つのことを実行する。それは銃を愛し、銃による躍動をすることなんだよ。それを認めてハートマン軍曹は喜ぶよな。
『微笑みデブ』が『キラー・マシン』に変貌したから。
レナードもまた、それによって自分の居場所を得たんだよ。もう誰からも苛められないし、認められる存在となった。
しかし、レナードはその躍動を自分で限定してしまったんだな。自分の躍動があの訓練所の中だけのものだと思い込んでしまったんだよ。だから訓練所から出て行くことは、折角得た自分の居場所の喪失だと考えたわけ。
そしてレナードは死を選ぶんだよ。もう人生は終わりだと考えたんだな。現代人はそういう思考なんだ。あくまでも躍動の人生を嫌うから。すぐに居場所を喪ってしまうんだな。
もしもレナードが戦場に出れば、優秀な狙撃手となったはずなんだよ。冷酷無比にターゲットを殺す、有能な人間になったの。
あのレナードの姿が、最後のベトコンのスナイパーと重なるんだな。実に優秀な狙撃手だったわけじゃない。殺さずに重症を負わせ、助けに来た仲間をまた次々に殺す。あれは戦場に出たレナードなんだよ。
その正体は幼い少女だったわけだろ? レナードもまた本体は「微笑みデブ」というどうしようもない奴なんだよ。でも自分の居場所とすれば、そこでは有能な人間にもなれたんだ。
戦争は普通の人間が行っているんだな。そこでの有能さというのは、ただ自分の使命を果たす、ということだけなんだ。それは実は普通の社会ではどこでも同じなんだよ。
By 偽kamiyawar(知恵袋)
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