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フルメタル・ジャケット (1987)

FULL METAL JACKET

監督
スタンリー・キューブリック
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  • みたログ 3,951

3.99 / 評価:1130件

巨匠の描く「裏プラトーン」的な戦争映画

  • ポルティ さん
  • 2018年6月9日 16時58分
  • 閲覧数 2821
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

この作品を最初に観た時は衝撃的だった。なにしろ始まってから約20分もの間、かわされるセリフはハートマン軍曹のあきれるほどの罵詈雑言と「sir,〇〇,sir!」のみ。ひたすらその繰り返し。一体これはどういう映画なのだ?と思ってしまうが、このブートキャンプでの一幕の強烈なインパクトが本作を傑作の域までに押し上げていることは間違いない。
それにしても、よくぞこれほどの悪態と汚い表現を思いついたものだ。それを圧倒的な迫力で演じきったリー・アーメイには「演技の神」が降臨したかのような何か神がかった恐怖すら感じる。彼のこの演技はこれからも映画史の中で永遠に語り続けられるだろう。
ただ、個人的に一番印象に残ったのは、ヘリから民間人(と思われる)を無差別に銃撃していた兵士のセリフだった。「よく女子供が殺せるな」「簡単だ。動きがのろいからな」。ハートマンの罵詈雑言のすべてよりも、この短い一言にこそ、恐るべき戦争の狂気をはらんでると思う。
後半はわりと普通の戦争映画になるが、イギリスで撮影されたとあって、キューブリックがベトナム戦争のリアリティを追求していないことは明らか。同時期に話題となった「プラトーン」や「地獄の黙示録」といった純粋なベトナム戦争映画とは毛色の違う、全体的にどこか空虚で冷徹さを感じる雰囲気になっている。正直、戦争映画を観たという気があまりしないのだ。キューブリックが描いたのは、リアルな戦場を描いたことで評判になった「プラトーン」へのアンチテーゼであり、「裏プラトーン」だったかと思う。単純な流行りモノの二番煎じ、三番煎じに終わらせないあたりは、さすが巨匠の視点というべきか。
「2001年宇宙の旅」が全くダメな自分は、キューブリックって全然良さがわからない「世間的な過大評価監督」だったが、本作でキューブリックを見直した次第・・・って、上から目線でスイマセン。

詳細評価

物語
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