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ブレイクアウト (1975)

BREAKOUT

監督
トム・グライス
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3.07 / 評価:58件

脱獄請負人ブロンソンの痛快アクション

原題もそのものズバリの「脱獄」を意味する『ブレイクアウト』は、1975年のアクション映画。1971年にメキシコで起こった実話をもとに作られたという。日本公開は75年5月31日(土)。ちなみに同時期に公開されていた話題作は「ロンゲスト・ヤード」「オリエント急行殺人事件」などがあった。
主演はチャールズ・ブロンソンで、同じ年に公開されたブロンソン映画に「ストリートファイター」(10月10日公開)がある。監督はトム・グライスという人で、チャールトン・ヘストンの「太洋のかなたに」やブロンソンの「軍用列車」を監督した。製作にアーウィン・ウィンクラー、音楽にジェリー・ゴールドスミスと有名な顔ぶれが並んでいる。

脱獄をテーマにした映画は数多く作られているが、外部から刑務所を襲撃して脱獄させるというシチュエーションはわりと珍しいかも知れない。もう一つ珍しいのは、名監督であるジョン・ヒューストンが俳優として出演していることで、孫(ロバート・デュバル)を罠にはめる大企業のボスという役どころであった。ただしブロンソンとの画面上の共演はなかった。
主演のブロンソンがやはり魅力的だ。本作の彼はよくしゃべり笑顔も多い。メキシコの田舎町で、金さえもらえば何でも請け負う「よろず屋」を開業するのんびりした男で、気乗りしなかった脱獄という大仕事に次第にのめり込んでいく。「刑務所を襲撃する」と書いたが、武力を使うのではなくあくまでも頭脳プレー。ブロンソンが銃を撃つシーンはまったくない。

物語の発端は、ジェイというわりと裕福な会社員(デュバル)が、突然身に覚えのない殺人の容疑で逮捕されたこと。いい加減な裁判で長期刑を言い渡され、刑務所に収監されてしまう。美人の奥さん(ジル・アイアランド)も訳が分からず、とりあえずニューヨークにいる夫の祖父(ヒューストン)に窮状を訴える。祖父は協力するふりをするが、実は彼が事件の黒幕だった。
私の読解力が足りなくてよく分からなかったが、要するに祖父のビジネスに孫の存在が邪魔であるらしく、メキシコの権力側を買収して無実の罪にはめたようだ。しかも部下を差し向けて奥さんの行動を見張らせる(これがラストシーンの伏線となる)。こうなると力のない一般市民は対抗できない。奥さんが最後の望みをかけたのが、何でも屋のコルトン(ブロンソン)である。

そのコルトン、副業として相棒のホーク(ランディ・クエイド)と一緒に魚の燻製作りをやったりして、大量の煙に閉口するといった牧歌的なシーンもある。奥さんから「ある男をセスナ機で運んでほしい」と依頼されて、指定された場所に飛んだところ囚人たちの作業場だった。いきなり看守たちに銃撃されて慌てて逃げる始末。ここで初めて奥さんの目的が脱獄だったと知る。
計画の失敗に激怒する奥さんと、「冗談じゃない、死ぬところだったんだぞ!」と言い返す、機内での喧嘩に笑ってしまう。二人の間にロマンスは生まれないが、お互いを意識するようなシーンは出てくる。面会に来た妻が髪型を変えたので「さては不倫してるな?」と疑う哀れなジェイ。演じるデュバルは同時期の「ゴッドファーザーPART?」とは対照的に痩せ細った姿である。

ジェイの服役する刑務所は、日本のマチュピチュと言われる竹田城を彷彿させ、丘の上に立った要塞のような姿は迫力がある。外見の威容とは裏腹に風紀は乱れきっていて、看守に金さえ掴ませれば、他人の目の届かぬところで好きなだけ面会できるようだ。奥さんはこれを利用して夫と頻繁に面会し、コルトンの立案した脱獄計画を打ち合わせるのである。
次に考えた手は、相棒のホークを女装させて娼婦に化けて刑務所に潜入させ、ジェイと接触させるというもの。本当は知り合いの保安官の奥さんに協力してもらう予定だったが、そんな危険なことはさせられないので相棒を女装させる大技を使ったのだ。この作戦は刑務所側に筒抜けになっており、ホークはボコボコに殴られて放り出されてしまう。

刑務所暮らしでジェイは体調を崩してしまい、コルトンは多額な報酬もあって後戻りできず、みずからヘリコプターの操縦を習うなど本気モードとなる。三度目の作戦は、コルトンとホークの他にヘリの持ち主、保安官の奥さんも加わった総勢4人。車、セスナ機、ヘリを利用した大がかりなものとなる。あまりネタばれはできないが、不安定なヘリの飛行がハラハラさせること、ブロンソンの軍人コスプレがリビアのカダフィ大佐そのものであること、ラストにアッと言わせる展開が待ち構えていることだけ指摘しておこう。

本作はブロンソン作品としては凡作という評価を受けているが、平凡な男が試行錯誤の末に大仕事を成し遂げるカタルシスと、腐った権力に一泡吹かせるという痛快さが味わえるし、笑いの要素がふんだんに入っていることから、私の好きな映画である。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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