先生の子供が学校から引き離されて、最高。
- 百兵映 さん
- 2017年2月10日 18時50分
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プロヴァンスといえばすぐに飛びつく。タイトルにプロヴァンスが入るのは『プロヴァンスの休日』と『プロヴァンスに贈りもの』の2作だけしか観ていないし、実際に行ったことなど勿論ないのに、きっといい所だろうと思う。本作も「プロヴァンスの夏」にしても良さそうなのに、敢えて少年の名前を優先して『マルセルの夏』にしてある。しかし、冠に『プロヴァンス物語』と付してあるところをみると、やはりプロヴァンスはブランド・スポットなのだ。
スクリーン上にはいわゆるのどかな田園地帯ではなくて、山岳丘陵地が映る。レンタルディスクの場合あえてブルーレイにするほどでもなく、大型テレビで見るほどでもない。女性受けするプロヴァンスというより、男性=父と息子受けのプロヴァンスだ。
アウトドア賛美か、野性味復活の勧めか、いずれにせよ、なよなよした都会っ子より「腕白でもいい、逞しく育て」というお話だ。主人公の少年・マルセルの父親が小学校の先生であるというのが押さえ所。自分の息子が並外れた優秀児であることに気づいて、喜ぶかと思いきや、これじゃいかん(多分、早熟ではいかんという意味だろう)と思い、今でいう家庭教育として夏のバカンスを田舎で暮らすことにする。学校の先生でありながら、我が子には学校風の学習から隔離する。
プロヴァンスの田舎で、それではどんな教育をしたかというと、それがない。むしろ、善良・生真面目だった先生が義理の弟から狩猟を学び、初めての“学習”に夢中になる。大人たちの“自然体験学習”を盗み見て、少年たちも学び上達する。少し恐い目にも遇うが、そこはプロヴァンス、ひどいことにはならず、かえって“学習”の高まりになる。
少年は中学校進学のための、今度は学校風の学習に戻る。奨学生試験に通れば来年の夏もプロヴァンスに 留学? させて貰える。次の夏は早熟児ではなく、普通で逞しい優秀児になって戻ってくることだろう。いい少年、いい家族、いい友だち、―― いい話だ。
『プロヴァンス物語』には続編があるから、それも観たい。もっと若かったら私もついて行きたいんだけど無理だ。でも、映画だけでも十分楽しい。
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