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ベルイマン監督の 恥

ベルイマン監督の 恥

SKAMMEN/SHAME

103

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5.0

ネタバレ別人になった夫

冒頭近く,リヴ・ウルマンの豊満な乳房,「ヴィーナスのえくぼ」 と,サービスショットが連発される。若い時の彼女のそばかす顔は実にかわいい。「あなたは身勝手よ」「僕は別人になってみせる。運命論者じゃないから」 対話のここでカメラが寄る。このしばらく後,夫は本当に別人になっていく。 ベルイマン監督には戦争体験はないはずで,いろいろ取材したものと思われるが,映像はなかなかの迫力だ。どこで勉強したんだろう。派手に爆薬ばかり使うより,この程度の方がリアリティを感じて怖い。ただ,夫は戦争によって変わったのではない。やっぱりグチグチ言っている。彼は妻を寝取られたことで変わったのだ (自分は浮気していたくせに)。ヘタレ,ダメンズだったのが,生き延びるためには何でもやる,残忍冷酷なオスになる。妻に甘えきっていた男が,ついて来られないなら置いていくと豹変,「根性なし」「泣いてどうなるの」 と罵っていた妻は従うほかない。男は元来情けない,弱っちい生き物だが,「しっかり」 するとしばしばこの映画のようになる。女性はどちらを選ぶかよく考えたほうがいい。 「恥」 とはまた難しい題名を付けたものだ。この監督にときどきある。「魔術師」 も原題は 「(その) 顔 (Ansiktet)」 であり,扮装していたために死体が別人だと気づかなかったことを指している。原題 Skammen と日本語の 「恥」 とではニュアンスが違うかもしれない。生きること自体が 「恥」 なのだと解釈しておきたい。

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