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ベン・ハー

ベン・ハー

BEN-HUR

240

sou********

5.0

ネタバレ圧巻の戦車レース。スペクタクル巨篇だね!

ユダヤ人、ユダ・ベン・ハーの人生の苦悩を描きつつ、キリストの奇蹟に帰結する物語。 第一幕は、ベン・ハーの人生の転落や憎しみの原点を丹念に描く。同時に、キリスト教に出てくる有名な人物たちが所々現れるも、進行に影響しない。要するに、エキストラみたいなもの。 唯一、物語の伏線になる行動を示すのがキリストで、ガレー船送りになったベン・ハーに水を与える後ろ姿で登場する。 この水で命を長らえるベン・ハーだが、ここからが悲惨。 そもそも、過失の事故を反乱とみなされ、ローマ人に母と妹をローマに捕らえられ、本人はガレー船行き。その命令を下したのが幼馴染のメッサーラってのが…物語に深みを与える。人間、立場が変われば、敵にも味方にもなり得るのだ。元々、お友達じゃない?何故、そんな事になるの?これは、物語として大事な要素だと思う。 しかも、長い牢獄生活で、母と妹はハンセン病を患って隔離エリアの死の谷へ飛ばされる。友人よ、そこまで汚れるか…。しかし、死病とされた時代には、その判断を責められるだろうか?相手にも良い部分はあるかもしれないのだ。 そんな事は、微塵も頭に浮かばず、おのれメッサーラ!なベン・ハー。許すまじモードで第一幕終了。 復讐を胸に第二幕突入。ここでスペクタクルの極み、戦車レースが登場。 スターウォーズep1ファントム・メナスに影響を与えたのが歴然の名場面!復讐を胸に、メッサーラと戦車レースで激突するベン・ハー。めちゃくちゃカッコいいのである。スタントも映像も素晴らしい! 問題は、見事に宿敵を倒しても報われない、母と妹のハンセン病。 ここに、愛と平和の使者、神の子キリストが影響していくのだ! 病気で重篤の妹を抱えて、エルサレムに行くベン・ハーとその一行。行き詰まったベン・ハーは、キリストの説法を聞きに行こうと言うわけだ。 ところが、キリストは裁判を受けて既に磔が決まっていた。ベン・ハー達が辿り着いた時には、十字架を背負いゴルゴダの丘へ歩を進めていたキリスト。 何度も倒れながら十字架を運ぶキリストに、水を差し出すベン・ハー。大長編の伏線が遂に回収されるのである。しかし…!差し出す水を弾き飛ばしてしまうローマ兵。神の子に救われた者の恩返しは、無惨にも妨害されてしまう。 ここに来てもローマに妨害される運命…。 遂に処刑されるキリスト。しかし、多くの者の罪を背負って死すべき運命を全うするのである。 ゴルゴダの丘から流れ出るキリストの血…。 なんとキリストの奇蹟で、母と妹のハンセン病が完治。 そして、キリストの心に触れたベン・ハーは、募りに募った憎しみから解放されるのであった! この映画の演出が良いなぁ、と思うのは、キリストの姿は顔を見せず、セリフすらない事だ。多分、姿を見せて喋らせただけで、物語はチンケになっていたと思う。 冷静に考えれば… キリストの影響と奇蹟で、ベン・ハーが心の平穏を取り戻す物語なのだが、結局のところ水をもらって生きながらえただけでもある。キリストの心を捉えたのはベン・ハー本人なのだから。特に、信仰しなさいと言われたわけじゃない。凄い人物が目の前で処刑された…と思って帰ってきたら、心の平穏も母と妹の病気も治っていた。 これは、ベン・ハー自身の気付きと信仰の問題だ。 更に平行して考えれば、ローマ人の支配欲を消し去れば、もっと多くが救える話だし…。 そもそも、ハンセン病が治ったところで、人生は誰もが死を迎えるわけだ。それならば、ハンセン病への偏見を無くした方が効果的な気もする。ベン・ハーの憎しみを取り払ったように。 と、屁理屈を考えながら観てるのに…凄い映画だよなぁ…と感心してしまう。これぞ映画の力かも、なんて。 何故か?愛の力のせいです。

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