あらすじ・解説
解説:allcinema(外部リンク)
作品レビュー(1件)
- gar********
3.0点
ローマ法王の突然の死で、ヴァチカンではコンクラーベ(法王を選出する選挙)が行われる。そこへマフィアとつるむ枢機卿ロッコ(アレックス・ロッコ)が、南米の辺境で布教活動をする無名の若い改革派の神父というアルビーニなる男(実はマフィアとグル)を選ぶように扇動する。扇動された枢機卿たちは満場一致でアルビーニをローマ法王に選ぶが、会議を取り仕切る書記官が、アルビーニをアルビニーツィと名前を読み違えから、エレキを弾きまくるファンキーなアルビニーツィ神父(ロビー・コルトレーン)が選ばれて… ヴァチカンというかなりアンタッチャブルな領域をテーマにしたコメディーで、制作された1990年当時イタリアでは上映禁止となったようです。 確かに、映画の冒頭から臨終のローマ法王をトンカチで殴って死亡を確認したり、コンクラーベの場が「お前の母ちゃんデベソ」的なくだらない中傷合戦として描いたりと、カトリックを絶対的に信じている人たちからすれば、許しがたく見える作品です。異教徒で日本人の私から見ても、やや悪ふざけが過ぎるなという印象を抱かせるほど、おふざけとパロディ満載です。『裸のガンを持つ男』や『ポリスアカデミー』シリーズのようなおバカ映画の系譜に入るでしょう。 しかし、そんな罪作りなおバカ映画ですが、その背景にあるヴァチカンが抱える問題をきちんと映画の中に織り込んでいるという点では、なかなか侮れぬ作品です。例えば、言わずと知れたヴァチカン銀行とイタリア・マフィアとの黒い関係。今年は、ナポリのゴミ問題が話題となりましたがゴミ処理場を経営したりなど、マフィアという存在はイタリア社会に黒い影を落としています。コミカルではありますが、この問題の持つ根深さを十分に感じさせてくれました。そして、ヴァチカン自身の問題としてはロビー・コルトレーン演じるアルビニーツィの就任記者会見で、記者が質問するシーンにあるように、避妊や女性の聖職者を枢機卿等の重要な地位に就けるのかという問題。特に、前者の問題でヴァチカンが否定的な見解を取っていることは、カトリック国でも反対が根強いものがあります。特にアフリカや南米のようなエイズが蔓延している地域では、コンドームの使用さえ禁じるヴァチカンのスタンスはエイズの感染予防という点でも阻害要因になっているのです。そういった背景を考えると、すでに政治的な影響力は無きに等しいヴァチカンの存在感は決して小さいものではないということがよくわかります。 やや悪ふざけが過ぎるが、侮れぬ描写力がある作品。
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