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僕の村は戦場だった (1962)

IVANOVO DETSTVO/MY NAME IS IVAN/IVAN'S CHILDHOOD

監督
アンドレイ・タルコフスキー
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4.07 / 評価:76件

少年の心情を正確に捉えた

  • bar******** さん
  • 2017年3月1日 11時22分
  • 閲覧数 913
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

アンドレイ・タルコフスキー監督の長編第1作目。この作品ですでに、タルコフスキーの表現は素晴らしい水準に達している。

水や、火や、影、そして鐘の音や、白樺の森、少年の夢。これらの表現はまことに抒情的かつ象徴的で、美しさもあって同時に深い意味も持っている。

彼らしい静かな空気もこの作品で楽しむことができる。タルコフスキーの映画は、静かなお堂にいるような気にさせてくれる。そこで語られる物語を、ぼくは安らかなまま感じられる。


この物語は、戦争で両親と妹を失った少年が、斥候として軍に在籍し、ついには命を落としてしまうというものであるが、戦争のむなしさと悲しみを表現するのはもちろん、タルコフスキーは少年そのものの姿を、どちらかといえば、注意して描き、その背景で戦争のあり方を描く、といった手法を採っている。

だから少年の夢や、水や、火などといった描写は、少年にとって意味があるものになる。また三人の軍人が少年の仲間として描かれているが、彼らもまた、少年という鏡のような存在に反射されて、己の個性的な性格を浮き彫りにするといった工夫もなされている。看護軍人のマーシャの存在は、直接的には少年と関わりはないが、中尉と大尉の存在を少年とは別の角度で照射し、戦争の現場を異質性をもって照射し、多重的な意味を戦場の現場に与えている。

少年の夢の美しさは、焼け落ちた村や、異質な川の描写と比べても、素晴らしい表現性を持っているし、その夢そのものの解釈を追うという視点でも素晴らしく深みで満ちたものとなっているので、これを単なる戦争映画と表現することは、この特別な視点を忘れることになるから、それ以上の芸術的な作品だとするのが正しい。

もちろん『アンドレイ・ルブリョフ』や『鏡』といった作品の方が、これよりももっと精神が磨かれるような、そんな深みのある表現はあるし、「戦争」という重々しいものの近くで、少年や軍人の個性を捉えるといった手法は、いささか相性の悪さといったものもあるかもしれない。しかしタルコフスキー監督は、実に優れた作家であるということを、実にこのモティーフの中で納得できるような作品なのだ。

映像表現のみでも見る価値のある、良い作品である。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • 不気味
  • 恐怖
  • 知的
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