レビュー一覧に戻る
インテリア

インテリア

INTERIORS

93

m19********

4.0

シリアスなアレン

アレンの作風は広い。代表的なのは中流階級の芸術肌インテリの悲喜こもごもをコミカル(またはシリアスに)に描いたもの。ミステリ風コメディ。古き良きアメリカ映画を思わせるロマンティック・コメディ。そして、本作「インテリア」を始めとする「ベルイマン風のシリアスドラマ」だ。 アレンの撮ったシリアスドラマの系統の傑作は私的には「私のなかのもう一人の私」と本作で一番の失敗作が「セプテンバー」だろう。 アレンのこういったシリアス作品は批評は芳しくない。アレン自身はその理由について「愛すべきコメディアンが芸術家ぶったのに怒りを感じたのだ」と言っているが、それは大した問題ではない。きっちりとしたものを撮れば、しかるべき評価がでるはずだ。問題なのは「シリアスさ」だ。 妙に深刻で、勿体ぶったように重たく、独りよがり的なのが、批判される最大の理由だと思う。 こんな批評がある。「なにもアレンにシリアスなものを撮るなとはいわない。しかし、そのシリアスさが陳腐なのだ。アレンは才能を無駄遣いしている」 まったく、その通りだと思う。 しかしながら、アレン自身は「自分の撮りたいものを撮るだけ」で批評家や観客がどう思うと意に介さないわけだから、今後もこのような作品はでてくるだろう。 長い前置きになってしまったので、「インテリア」について。 結論からいうと、嫌いではない。どうしようもなく冷たい作品で、観ていると疲れてくるが、テーマは「アレン哲学」そのものだ。アレンの人物レビューにも書いたが、彼の作風は広いが、テーマは一貫していて、そこに共感を覚えると、楽しめる。 本作も、芸術では人は救われず、大切なのは「才能」ではなく人間らしさであることを訴えている。 厳格で才能に溢れ自分勝手に映る母。そんな母と同じく才能豊かだが、芸術のために人をはねのける長女。なにか芸術的なことがしたいという感性はあるが、才能の伴わない次女。見た目は美しく、成功を収めているが、それに中身の伴わない三女。そこへ現れたのは、父が連れてきた、才能も感性もなくがさつだが、四人にはない「なにか」をもっている女。 いったい誰が「幸せ」になれるのか?映画では結論は出されていないが、答えはもう出ているような気がする・・・・。

閲覧数740