レビュー一覧に戻る
インテリア

インテリア

INTERIORS

93

じゃむとまるこ

5.0

イヴのインテリア

1978年作、ウディ・アレンの映画です。 '70 ~'80年代、アレン絶好調の時代、名作を次々制作、本作もその中の一本。 ベルイマンにインスパイアされて制作したといわれる、アレンにしてはシリアスな映画です。 確かにベルイマンの影響は大きいですが、見事に消化吸収、アレンの世界を創り上げています。 今回舞台は富裕層の高級住宅が建ち並ぶロングアイランド、海辺の邸宅、窓から見える荒い波が不安感を増幅させます。 ゴードン・ウィリスの映像はモノトーン基調の水彩画のようで寒々と美しく、音楽は、或る部分(映画のターニングポイント)を除き無音です。 知識人といわれる裕福な一家、3人の娘は独立したかに見える、義務を果たした父は妻イヴ(ジェラルディン・ペイジ)との一時的別居を提案、長女レナータ(ダイアン・キートン)は詩人として名を成し、次女ジョーイは人生の方向が見定まらないことに悩み、三女フリンは華やかな女優として活躍するも役に恵まれない。 三者三様の悩みを抱えている。 そんなある日父は恋人パールを娘たちに紹介、妻イヴには離婚を申し出る。 65歳、残り少ない人生を自分の思うようにに生きたいと話す父、そして母とは対極にあるパールという女性。娘たちは葛藤するも、父の心の内も理解できる。 夫、娘たちを自分のインテリアのように整然と統率を取ろうとした母イヴ。 自己完結の内に夫、娘たちを取り込み家族を支配し続けてきた、精神的にも。 娘たちは母への依存、そして母の支配を断ち切ろうともがき続けて生きてきた、愛という支配。 しかし自己愛肥大化の前に待っているのは狂気か死か・・・・ 結局一番依存していたのは母イヴでしょう、すべてをなくし自己崩壊していく。 ラスト近く、海辺の邸宅でパールを迎えて新しい家族のパーティが、イヴとは正反対のおおらかでがさつなパールに娘たちは不快感を顕わにしますが父が何故彼女を選んだのかも見えてきます、この場面だけが音楽があり華やかですが、窓の外にはイヴの暗い顔が・・・・ ここから一挙にラストへとなだれ込みます。 この家族にはサクリファイスが必要だった、依存なくして生きていけない母。そんな母から解放された娘たちの横顔には、哀しみに満ちた晴れやかさが映し出されている。 一蹴も目が離せない無音の会話劇、緊迫する92min. ウディ・アレン見事な脚本でした。 母イヴには本作でアカデミー主演女優賞候補となったジェラルディン・ペイジ・・・ 怖いです、なにもかもを呑み込もうとする自己愛のモンスター。 イヴという名も意味ありげでした。

閲覧数1,189