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インテリア

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INTERIORS

93

tam********

5.0

家族とは何だろう?

ウッディ・アレンの非凡なる才能をいやと言うほど感じさせられた。 天才と言われるウッディが天才一家を描いている。 当然観るほうも肩に力が入る。 映像はあくまで、しっとりと落ち着き、長回しのカメラは俳優に絡みつき、何事も見逃すまいとしている。 テーマは「家族」と「離婚」。 かの国では離婚が日常になりつつあると聞くが離婚を契機として持ち上がる家族の人生が複合されたテーマである。 離婚した母の死を原点とした家族の姿が、月並みな表現だが、赤裸々にさらけ出される。 老齢での離婚は不幸の匂いを内に秘めるものだ。 結局は他人でしかない夫婦、血でつながる母親と娘たち、そこに理屈では解明できない隔たりを感じる。 両親から独立してはいるものの、決して幸せな人生を歩んでいるわけではない3人の娘たち。 長女は夫婦生活に破綻を予感し、次女は自らの才能に限界を感じ、三女は虚構の芸能界に疲弊している。 娘たちが両親の離婚に際し、父親に思い直すよう説得しない、僕にとってここが最も理解できない点だった。 逆に娘たちは、父に残りの人生を選択する権利を認めようとする・・・全くきれいごとではないか。 本当の家族の暖かさ、思い、結束はひとつも感じられない。 結局、人は自分ひとりで生きていく勇気が無ければいけないのだろうか? 母を呑み込んだ海を見つめる娘たちが心に思ったこととは何だったろう? 自分の生活の不安、母を救えなかった後悔・・・いやそれ以上に失くしてはいけなかった大きな支え「家族」を想っていたのだろう。 ウッディ・アレンの鋭い視点、その批判力、オーソドックスなシネマ作法に感心するのみ。 このテーマを描くにはこの方法しかなかったことを彼が一番よく理解していた。 このシネマに慣れないとすれば、それは観る側の責任であり、慣れないと、とてつもなく疲れる作品でもある。 記:1980年2月13日

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