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ほら男爵の冒険

ほら男爵の冒険

BARON PRASIL/THE FABULOUS BARON MUNCHAUSEN

84

カーティス

5.0

ほら吹き男爵×ゼマン

ほら吹き男爵を題材にしたカレル・ゼマン監督作。ほら吹き男爵と言えば、砲弾にまたがって空を飛んだり、豆のつるをよじ登って三日月まで行ってしまったりといった、「何を食べるとこんなアイデアを思いつけるんだろう…」と思ってしまうような話がオンパレードな古典小説。リアリティーとは正反対の夢いっぱいの作品を作り続けたカレル・ゼマン監督にとっては、またとない素敵な題材だったに違いありません。 ストーリーは原作に負けず劣らずシュールです。月面着陸をはたした宇宙飛行士を、男爵やシラノ・ド・ベルジュラックが出迎えるという、人を食ったシーンから始まります。そこから、木製のペガサスに引かれた帆船でトルコに行って囚われの姫を助けたり、巨大魚に飲みこまれて世界中を旅したり、ワインの海を馬で渡ったり…といったやりたい放題なストーリーが展開されます。しかし、支離滅裂な感じはせず、最後まで見れちゃうから不思議です。ほら吹き男爵という題材の力なのか、それともゼマン監督の力量の賜物なのか……たぶんどっちもでしょうね。 見どころは映像。カレル・ゼマン監督の作品はどれも映像が凝っていて素晴らしいのですが、本作はとりわけ優れていると感じました。トルコのサルタンが登場するときの長回しだとか、暗闇をうまく使ったトルコ兵とのチャンバラシーン、男爵が弾丸に乗って空を飛ぶシーンのスピード感などなど、一度見たら忘れられないシーンのオンパレード。映像が凝っているというだけでなく、見せ方もうまいです。(とくに冒頭、地上から宇宙へと舞台が移るシーン) シュールながら見やすいストーリーと、高い水準の映像が合わさった、見どころの多い作品でした。個人的には、今まで見たゼマン監督作品のなかで2番目に好きです。(1番目は『王様の耳はロバの耳』!)

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