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マーフィの戦い (1971)

MURPHY'S WAR

監督
ピーター・イエーツ
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4.08 / 評価:13件

典型的なアイリッシュらしい愚行を描写

『マーフィの戦い』はアイリッシュの原作によるアイリッシュの映画で、典型的なアイリッシュらしい愚行を描いている.アイリッシュは「自殺的、破滅的、激情的な愚行を喜んで冒す」傾向が顕著ということらしい。独立のための数々の戦いの歴史も、そうした失敗の連続だった。アイリッシュ魂を抱いている男とは合理的に考えて動かない。頑固。自分だけに通じる理屈で行動する.

本作はその題材から、兵器・軍隊ものファンの間では有名な存在のようだ。また、宮崎駿の「紅の豚」にも強い影響を与えた。しかし最後は素手の殴り合いになる紳士的なラストの「紅の豚」と違って、本作は英雄譚ではない、ただただアイリッシュの話である(それを演じるのがかつて「アラビアのロレンス」を演じたピーター・オトゥールなのが、いかにもイギリス的諧謔)。そんな男に付き合いながらも、最後には失望して離れていくルイ(演ずるはフィリップ・ノワレ)の表情も忘れられない。そしてその無残で呆気ない最期までその目を逸らさない製作陣の熱情こそが、本作を高揚させたのだ。

ちなみに、物語の途中...村が再びUボートに襲われ、飛行艇が破壊された直後...にラジオからいわゆる終戦放送が流れ、第二次世界大戦は終わる。村人が、ドイツ兵が、女医さんが、そしてルイが必死で呼びかける。「マーフィ!!終わりだ!!戦争は終わったんだ!!」しかしマーフィは事もなげに返す。「俺のはまだだ」

一人対潜水艦というアイデアが単純ながらに素晴らしい。島の女医やその助手たちが戦争の無意味さをどんなに説いても、マーフィは聞き入れずに執念の鬼となり突っ込んでゆく姿は悲しくも熱いものを感じる。マーフィが駆る武器がポンコツというのも面白く、戦争映画では本来脚光を浴びない整備兵であるマーフィの役どころが効いている。頼りなげなエンジン音をたてる水上複葉機、黒い煙を撒き散らす船は、画面から油の匂いが染み出そうな存在感がある。生き残れた幸運に浸るよりも、戦いを捨てる事への嫌悪感がマーフィの行動原理になっているようで、下手すれば、荒涼とした映画になりかねない物語を、主人公と女医や助手との交流を挟むことで、人間味のあるものにさせている。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • 勇敢
  • 知的
  • 絶望的
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